スイーツ・ツアー・フランス-フランスの地方菓子をめぐる旅-

ビスケット、クグロフ、キャラメル、カヌレ、ワッフル‥日本でも親しまれているスイーツはフランスの地方から産まれました。お菓子を通して、フランスの歴史や文化を垣間みることができます。

こんにちは、パリナビです。「稲妻」という意味のエクレール、「キャベツ」はシュー・ア・ラ・クレーム、「尼さんのおなら」という何ともユーモラスなお菓子ペ・ド・ノンヌ。フランス菓子はフランス人のエスプリたっぷりの名前で呼ばれ、世界で愛されています。特色ある地方菓子はパリ以外で産まれたものも少なくありません。今回はお土産にもできるお菓子を中心にフランスらしいお菓子をナビがセレクトしました。その愛らしいスイーツをフランス各地をめぐりながら訪ねてみましょう。

北フランス、砂糖の大地

フランスは世界一のてん菜糖の生産国。もともとはキビ糖を輸入していた港が北フランスにありましたが、ナポレオンの大陸閉鎖の政策により、サトウキビに変わって、てんさい糖の栽培が推奨され、北フランスはてんさい糖の生産地となりました。夏には一面のさとう大根の畑が広がります。てん菜糖にキャラメルの風味がついた“ヴェルジョワーズ”を使ったお菓子が北フランスで見られます。またベルギーの影響を受けたおなじみのお菓子も見ることができます。
北フランスやベルギーでみかける“スペキュロス”手彫りの木型で象ります。日持ちがしますので、おみやげにも最適。

北フランスやベルギーでみかける“スペキュロス”手彫りの木型で象ります。日持ちがしますので、おみやげにも最適。

北フランスのワッフル。中にクリームが入っています。てん菜糖にキャラメルの風味を付けた“ヴェルジョワーズ”がサンドされて、ざくざくとした食感が良いお菓子

北フランスのワッフル。中にクリームが入っています。てん菜糖にキャラメルの風味を付けた“ヴェルジョワーズ”がサンドされて、ざくざくとした食感が良いお菓子

ワッフルにもヴェルジョワーズをかけていただきます。

ワッフルにもヴェルジョワーズをかけていただきます。

アルザス、お菓子の森

アルザスは四季折々のお菓子があふれています。特にクリスマスや復活祭の時に訪れるとキリスト教にまつわるお菓子でショーウインドーが華やか。アルザスのおばあちゃんたちは、11月の終わり頃からクリスマスにプレゼントするお菓子を作り始めます。星、ハート、鳥、もみの木などを象ったお菓子。ジャムを塗ったり、チョコレートをサンドしたりと、テクニックもプロのパティシェのよう!この時期にはパティスリーでも購入することができます。パン・デピス(スパイスパンケーキ)美術館もあり、昔から伝わるお菓子の包装紙や型が見ることができます。アルザスの町並みのようにかわいらしいお菓子を発見できますよ。
アルザス・ストラスブールのクレベール広場にクリスマスになると毎年ツリーが飾られる。

アルザス・ストラスブールのクレベール広場にクリスマスになると毎年ツリーが飾られる。

アルザス名産クエッチというプラムのタルト。食べられる時期がとっても短いので見つけたらラッキー。

アルザス名産クエッチというプラムのタルト。食べられる時期がとっても短いので見つけたらラッキー。

ストラスブールのカテドラル。木枠組みの家がおとぎの国のよう。

ストラスブールのカテドラル。木枠組みの家がおとぎの国のよう。

オーストリアから伝わったと言われるクグロフ。陶器の型で焼くのでふんわりとしたおいしさ。

オーストリアから伝わったと言われるクグロフ。陶器の型で焼くのでふんわりとしたおいしさ。

ヘンゼルとグレーテルの森もアルザス。まるで魔法のお菓子の家に迷い込んだよう。

ヘンゼルとグレーテルの森もアルザス。まるで魔法のお菓子の家に迷い込んだよう。

ノルマンディー、酪農王国

ノルマンディー種の牛

ノルマンディー種の牛

1年に300日が雨。雨がもたらした緑の大地は、とってもおいしい乳製品を生み出しました。愛嬌のあるかわいいノルマンディー種の牛が草を食む田園風景が広がります。A.O.Cのバター、クリームを誇るイジニーのバターは、エシレのバターにも勝るおいしさ。良い素材から素朴で、とびっきりのお菓子が産まれます。このフレッシュクリームや牛乳、バターを味わいたいならマルシェへ行ってみましょう。量り売りで購入することができます。ノルマンディーは、サブレ、ブリオッシュが産まれた地でもあります。おいしいバターで作ったお菓子はそれだけでごちそうですね。
おいしそうに焼き上がったガッシュ(ノルマンディーではブリオッシュという意味)バターの香りがふんわりと香ります。写真は、農家の薪釜で焼いたとびっきりのブリオッシュ

おいしそうに焼き上がったガッシュ(ノルマンディーではブリオッシュという意味)バターの香りがふんわりと香ります。写真は、農家の薪釜で焼いたとびっきりのブリオッシュ

ノルマンディーのモンサンミッシェル

ノルマンディーのモンサンミッシェル

上質のバターを使ったサブレは、かわいらしい缶に入っています。

上質のバターを使ったサブレは、かわいらしい缶に入っています。

秋限定、ブルドロ。中には丸ごと洋梨やりんごが入っています。

秋限定、ブルドロ。中には丸ごと洋梨やりんごが入っています。

農家の石釜の様子。薪の香りがただよいます。

農家の石釜の様子。薪の香りがただよいます。

カマンベール?!チョコレート。カマンベール風なのは、包みだけです。ご安心下さい。

カマンベール?!チョコレート。カマンベール風なのは、包みだけです。ご安心下さい。

りんごの形のチョコレート。カルヴァドスというりんごのお酒が入っています。

りんごの形のチョコレート。カルヴァドスというりんごのお酒が入っています。

ルーアン名物のりんごのボンボン(キャンディー)16世紀からの由緒あるもの

ルーアン名物のりんごのボンボン(キャンディー)16世紀からの由緒あるもの

ミルリトン・ド・ルーアン。このプチタルトがもととなり、フランス中に広まりました。

ミルリトン・ド・ルーアン。このプチタルトがもととなり、フランス中に広まりました。

フランス南西部、イタリアからスペインの国境地域

フランス南西部は、地中海の港、アフリカや中近東への出入り口。アラブの影響を受けたお菓子も見つけられます。南からもたらされたアーモンドやフルーツ、ブリジット・バルドーが名付けたサントロペのお菓子“トロペジェンヌ”‥人々の流れがフランス南西部のお菓子を作り上げました。
特産のアーモンドをペースト状にし、メロンの砂糖漬けで香りを付けた“カリソン”

特産のアーモンドをペースト状にし、メロンの砂糖漬けで香りを付けた“カリソン”

アラブのお菓子が起源とされる、クルスタッド・オ・ポムぱりぱりとした薄い生地にりんごが包まれています。

アラブのお菓子が起源とされる、クルスタッド・オ・ポムぱりぱりとした薄い生地にりんごが包まれています。

カリソン。

カリソン。

カニストレリ。素朴なクッキーは、栗粉で作られているものもあります。コルシカ島からマルセイユ辺りで見かけるかりかりしたおいしいお菓子。

カニストレリ。素朴なクッキーは、栗粉で作られているものもあります。コルシカ島からマルセイユ辺りで見かけるかりかりしたおいしいお菓子。

お正月にいただく、ガレット・デ・ロワ。中には南仏特産のフルーツの砂糖漬けが入っている。

お正月にいただく、ガレット・デ・ロワ。中には南仏特産のフルーツの砂糖漬けが入っている。

乾燥プルーンの中にプルーンのピュレを詰めた贅沢なお菓子。ボルドーやトゥールーズにも近いアジャンの特産

乾燥プルーンの中にプルーンのピュレを詰めた贅沢なお菓子。ボルドーやトゥールーズにも近いアジャンの特産

ガトー・バスク。中にはさくらんぼやカスタード・クリームの入ったものも

ガトー・バスク。中にはさくらんぼやカスタード・クリームの入ったものも

こちらもガトー・バスク。

こちらもガトー・バスク。

ロワール、ポワトゥー地方(フランス西部)、フランスの果樹園

リゴレット・ナンテーズと呼ばれる、フルーツ入りのボンボン。大小かわいらしい缶に入っているのでおみやげにも最適。

リゴレット・ナンテーズと呼ばれる、フルーツ入りのボンボン。大小かわいらしい缶に入っているのでおみやげにも最適。

ロワールの雄大な流れに沿うように、ナント、アンジェ、ツールの町が広がります。王侯貴族がお城を建てたロワール河の流域は、豊かな土に恵まれ、おいしいフルーツが収穫できます。ロワールの中心ナントの港からは、サトウキビが輸入されたため、お菓子も早くから発展してきました。また、ポワトゥー地方は大農業地帯。エシレのバターもこちらで生産されます。
直径26cmもある巨大なクッキー。写真のように拳で割ってみんなで分けるのがポワチエ風。

直径26cmもある巨大なクッキー。写真のように拳で割ってみんなで分けるのがポワチエ風。

ツールの名物“ヌガー・ド・ツール”ノワゼットが入った香り豊かなタルトです。

ツールの名物“ヌガー・ド・ツール”ノワゼットが入った香り豊かなタルトです。

真っ黒こげのチーズケーキ。ヤギや牛のチーズで作るタルト。表面を焦がすほどの強い火で焼き上げるので、中がしっとりと水分を逃さず焼き上がります。現地の人は朝ご飯にもいただきます。

真っ黒こげのチーズケーキ。ヤギや牛のチーズで作るタルト。表面を焦がすほどの強い火で焼き上げるので、中がしっとりと水分を逃さず焼き上がります。現地の人は朝ご飯にもいただきます。

もともとは薬として広まったアンジェリカで作られたお菓子。セロリのような爽やかな芳香が口の中に広がる。

もともとは薬として広まったアンジェリカで作られたお菓子。セロリのような爽やかな芳香が口の中に広がる。

LUのビスケットはナント名物。もともとは、船乗りのために日持ちするお菓子を作ったのが始まり。

LUのビスケットはナント名物。もともとは、船乗りのために日持ちするお菓子を作ったのが始まり。

ガトー・ナント。ラム酒がたっぷり入っています。

ガトー・ナント。ラム酒がたっぷり入っています。

ロレーヌ地方、くいしんぼうの王様から産まれたお菓子

ポーランドからやってきたロレーヌの王様は食いしん坊。おいしいものに目がなかったようです。娘マリーがお輿入れしたヴェルサイユへもおいしいお菓子を運ばせ、マリーの成功を祈っていたお父さんでした。この時期に産まれたお菓子は、現代に引き継がれ、愛され続けています。
がちょうの羽で小さな赤すぐりの種をひとつひとつ抜き取ったというゼイタクなジャム。バール・デュック名産

がちょうの羽で小さな赤すぐりの種をひとつひとつ抜き取ったというゼイタクなジャム。バール・デュック名産

スタニスラス・レクチンスキーのメイドであったマドレーヌが宮廷に出したところ、大変喜ばれたという貝殻の形のマドレーヌ。こちらは、パッケージ。

スタニスラス・レクチンスキーのメイドであったマドレーヌが宮廷に出したところ、大変喜ばれたという貝殻の形のマドレーヌ。こちらは、パッケージ。

マカロン・ナンシー。フランス各地には、その土地ならではのマカロンがありますが、こちらは、ナンシーの名物マカロン。さくっとアーモンドの香りが広がります。

マカロン・ナンシー。フランス各地には、その土地ならではのマカロンがありますが、こちらは、ナンシーの名物マカロン。さくっとアーモンドの香りが広がります。

ロレーヌのお菓子“ヴィジダンディーヌ”アーモンドと卵白で作ったお菓子でかわいらしい型で焼き上げられる。

ロレーヌのお菓子“ヴィジダンディーヌ”アーモンドと卵白で作ったお菓子でかわいらしい型で焼き上げられる。

ロレーヌの風景。

ロレーヌの風景。

マドレーヌ

マドレーヌ


お菓子でフランス一周の旅、いかがでしたか?こちらで紹介できなかったお菓子もまだまだたくさんありますよ。地方を旅したらおいしそうなパティスリーを覗いてみて下さいね。以上パリナビでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2010-09-10

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