壁の芸術☆13区ストリートアート特集

街がまるごとアートギャラリー!13区のストリートアートを見に行こう!

こんにちは、パリナビです。パリは沢山の美術館を有する芸術の街ですが、街角の芸術を皆さんはご存知でしょうか。そう、ストリートアートです。と言っても単なる壁の落書きではありません。大きな壁いっぱいに彩られた、まさに芸術という言葉がふさわしいストリートアートです。そんな壁アートのメッカと言えるのがパリ13区。特にメトロ6号線が走るナシオナル駅、シュヴァルレ駅の近辺にはこのストリートアートの作品群が文字通りいくつもそびえ立っています。今回は芸術の秋到来にふさわしく、パリ13区の壁の芸術をご紹介しましょう。
街ごとアートギャラリー!

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メトロが高架を走るナシオナル駅&シュヴァルレ駅付近

メトロが高架を走るナシオナル駅&シュヴァルレ駅付近

メトロ6号線のナシオナル駅やシュヴァルレ駅界隈は、HLMと呼ばれる、いわゆる低所得者層のための公団住宅が並んでいるエリアです。とは言っても決して危険な地域ではありませんのでご安心を。すぐそばには13区役所のあるイタリー広場、その反対側は新国立図書館のあるビブリオテーク界隈へと続き、再開発地域として発展している注目のエリアです。さてその公団住宅ですが、伝統的な石造りの建物ではなく、ほとんどはコンクリートの近代的なビルです。そのため、建物の側面などはグレーのコンクリートがそのままのちょっと悲しい状態だったりします。そこに目をつけたのがこのプロジェクト。そのコンクリートをそのままキャンバスにして壮大な壁画を描いてしまおうという大胆な発想です。というわけで、コンクリートの建物が立ち並ぶこの界隈は、ストリートアートの作品が立ち並ぶエリアにと様変わりしていきました。

ではどんな作品があるのか、沢山ある作品群の中からいくつかご紹介してみたいと思います。

ナシオナル駅近辺

自由・平等

自由・平等

駅からはこのように見えます

駅からはこのように見えます

まずは6号線ナシオナル駅を降りてすぐ、ヴァンサン・オリオール通りとナシオナル通りの角にある壁画から。

Shepard Fairy「自由・平等」(186 rue Nationale)2016年
タイトル通り、フランスのシンボルマリアンヌの壁画です。作者のシェパード・フェアリー氏が11月13日のテロ事件の際に犠牲者を追悼する意味で作ったポスターに手を加える形で完成させたものです。また、「戦争ではなく、芸術を」というメッセージも含まれています。

D✽Face「激しい抱擁」(8 Place Pinel)2017年
ヴァンサン・オリオール通りを挟んで反対側にあるピネル広場にある壁画。昔のアメリカンコミックを思わせるタッチですが、男性の姿が骸骨というところが普通のラブシーンとは一味違います。元のタイトルは「愛は我々を引き離すことはない」。作者のD✽Faceによれば、すでに過去となった愛も永遠にその人の中に生き続けるのだとか。
D✽Faceの作品はナシオナル駅すぐそば D✽Faceの作品はナシオナル駅すぐそば D✽Faceの作品はナシオナル駅すぐそば

D✽Faceの作品はナシオナル駅すぐそば

ヴァンサン・オリオール通り

カマルグ

カマルグ

メトロが高架を通るこの通りには幾つもの壁画が並びます。サイズも大型の迫力のあるものばかりです。

Maye「カマルグ」(131 Boulevard Vincent-Auriol)2017年
南フランス出身のアーティストによるどこかユーモラスでノスタルジックな壁画です。カマルグとは塩の出産地としても有名な湿地。男はカマルグの野生動物としても有名なピンクフラミンゴに乗っています。ボンベから吹き出した蝶々や指に引っ掛けたエッフェル塔のキーホルダーなど、ディテールが楽しい作品。

Conor Harrington「抱擁」( 81 Boulevard Vincent-Auriol)2017年 
メトロシュヴァルレ駅そば。ルネサンス期の作風にインスパイアされて描かれた男性二人は何とも不思議な雰囲気を醸し出しています。現代的なタッチの多いストリートアートの中で、この作品はそのテーマ共に異彩を放っています。
カマルグ 全容

カマルグ 全容

抱擁 

抱擁 

Madre Seclar

Madre Seclar

INTI「Madre Secular」(81 bd. Vincent Auriol)2016年 
「抱擁」のすぐ隣には背景の青いバラに浮かび上がる女性の姿が鮮やかなチリ人アーティストの作品が並びます。そのサイズの大きさもさることながら、細かく描かれたディテールもまさに絵画そのもの。
隣り合った二つの作品の対比もみどころ 隣り合った二つの作品の対比もみどころ

隣り合った二つの作品の対比もみどころ

ジャンヌ・ダルク通り

ダンサー

ダンサー

半ズボンの坊や

半ズボンの坊や

メトロと交差して南北にのびるジャンヌ・ダルク通り。南の突き当りには同じ名前の教会があります。

Faile「ダンサー」( 110 Rue Jeanne dArc)2016年
ヴァンサン・オリオール通りからジャンヌ・ダルク通りへ北に入ったところにあるこの壁画は、そのカラフルな色遣いで非常に目を引きます。宙を飛ぶダンサーの後ろに見えるのはニューヨークのブルックリン橋。下には「そして私は息を止めた」と書いてあります。瞬間を切り取ったダイナミックで明るい作品です。

Julien Seth Malland「半ズボンの坊や」(109 Rue Jeanne dArc)2016年
「ダンサー」のすぐ隣の建物の壁のはみ出た部分に描かれた非常に幅の狭い壁画ですが、少年の覗いている虹色のサークルがまだ横に続きがあるような奥行きを感じさせます。作者のセス氏はこの少年をモチーフに幾つものストリートアートを展開しています。全体的に優しく夢のある作風です。

Shepard Fairy「革命-2」(93 rue Jeanne d’Arc)2012年
ヴァンサン・オリオール通りを挟んだ反対側のジャンヌ・ダルク通りには二つのシェパード・フェアリー作品を見ることができます。この「革命」はメトロの車内から見える絶好のシチュエーションであると作者ご本人も満足だとか。
革命-2 革命-2

革命-2

Shepard Fairy「COP21-2」(60 rue Jeanne d’Arc)2016年
ジャンヌ・ダルク教会に近づくとバラ窓を思わせる作品が。中央に描かれた地球の周りには、風力発電の風車と対峙する油田、水に浸かった自由の女神。エッフェル塔が一番下を支えています。エコロジーに対するメッセージ性の高い作品です。
COP21-2 COP21-2

COP21-2

David de la Mano「プロフィール」( 4 rue Jenner)2015年
ヴァンサン・オリオール通りをジャネール通りに入ったすぐにあるかなり芸術性の高い作品。沢山の人影が重なり合うようにして一つのプロフィールを作り出します。その影も鳥だったり獣だったり根っこが生えていたりと一様ではありません。
プロフィール プロフィール プロフィール

プロフィール

他にもこんな作品が。
Fabio Riéti「バッハ」(53 rue Clisson)1980年。バッハの絵を描く絵描きの絵というユーモラスな壁画

Fabio Riéti「バッハ」(53 rue Clisson)1980年。バッハの絵を描く絵描きの絵というユーモラスな壁画

Vhils (Alexandre Farto)「顔-5」(177 rue du Château des Rentiers)2012年。なんとコンクリートを削った彫刻です

Vhils (Alexandre Farto)「顔-5」(177 rue du Château des Rentiers)2012年。なんとコンクリートを削った彫刻です


いかがでしたか。ここに挙げた作品はあくまでも一部にすぎません。大通りからそれた小さな道にも描かれていたりと発見がいっぱい、このエリアはまさにストリートアートの宝庫です。皆さんもぜひアウトドアの芸術鑑賞を楽しんでみてくださいね。
以上、パリナビでした。





上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2018-09-12

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