フランスが誇る伝統工芸のセーヴル焼。上品で繊細な持ち味が特徴です。職人の匠の技と、世界の陶磁器コレクションをぜひご堪能あれ!
国立陶磁器美術館(セーヴル美術館)
こんにちは、パリナビです。ところで皆さん、セーヴル焼ってご存知ですか?パリの南西、サン・クルーのすぐ隣にあるセーヴルという町で作られる磁器です。その繊細な美は何世紀にもわたって王室や皇帝などにも愛されてきました。そのセーヴルの国立陶芸アトリエには、国立美術館があります。セーヴル焼の他、世界各国の様々な時代の陶磁器がコレクションされているんですよ。お皿好きにはたまらないこのセーヴルの国立陶芸美術館を今回はご紹介したいと思います!
パリのおとなりでアクセス便利!
正面から
国立陶芸美術館(セーヴル美術館)へのアクセスは簡単。メトロ9号線の終点、Pont de Sèvresからセーヌ河を渡ったところにあります。また、トラムウェイのT2号線のMusée de Sèvres駅なら目の前です。パリのすぐお隣りなので、気軽にちょっと足を伸ばすことができます。
建物はどっしりと重厚な構えです。門を入って真正面が美術館。
さて、どんな陶磁器たちに会えるのでしょうか?早速入ってみましょう!
世界各国、いろんな時代の陶器コレクション
美術館は2フロアで構成されています。まず地上階ですが、入って左手にはセーヴル焼の大まかな説明や製造過程を知ることができる展示室。こちらでは「セーヴルの青」と呼ばれる深みのある青色の壺や、細かい仕事の絵付けがされたお皿などが並んでいます。そしてパネルや実物の展示で、セーヴル焼がどのように作られるかを説明してあります。磁器作りに必要なカオリンという材質、そしてセーヴルの青を出すテクニック、さらに絵付けの工程などを実物のサンプル付きで見せてくれるのがいいですね。
そして地上階の右手は、膨大な数の陶器コレクションが揃っています。古代から中世、近代と、とにかくそのお皿の数とバリエーションには圧倒されます。また、国や地域によって分類されているため、その国によっての個性を見ることができるのも楽しいですよ。もちろんアジア圏のお椀やお皿なども展示してあり、日本の陶器の展示もあります。時代が変わっていくにつれてだんだん技術が上がっていくところもよく分かりますね。
そしてフロアの奥まで行くと、ルネッサンス期の素晴らしい作品群があります。一見彫刻のようなモニュメントや母子像はとっても優雅で綺麗ですよ。ぜひごらんください。
大広間の巨大な壺
名誉の間
それでは地上1階に上がってみましょう。
階段を上がると正面にあるのが名誉の間(Le salon d’honneur)です。中に入ると、真ん中にどっしりと構える巨大な壺が目に入ります。これはネプチューンの壺と言って、1867年に作られました。高さがなんと3.15mという、セーヴル焼でも最大級のサイズです。メディチの壺にインスパイアされて制作されたということです。真っ白でシンプルな形でありながら存在感があります。
そしてこの広間には、大ぶりの壺が沢山展示されています。19世紀のものや20世紀のもの、そしてまだ製作段階のものなどいろいろありますが、こんな大胆な壺がずらり並ぶと迫力満点です。そして、表面にかかれている細かい絵もじっくりと見ておきたいものです。
さて、この広間から左手へ入ると、陶器の展示や特別展示などがあります。見ておきたいのはルーアンなどセーヴル以外の地方の陶磁器。なかでもネヴェールの食器類は、ネヴェールの青と呼ばれる、セーヴルよりもさらに深みのある青色が落ち着いた印象を与えるコレクションです。
ヴァンセンヌからセーヴルへ
では、広間から右手の部屋に入ってみましょう。こちらがセーヴル焼の展示室です。
セーヴル焼はまず1740年にヴァンセンヌの工房から始まりました。セーヴルに移転したのは1756年のことです。あのポンパドゥール夫人はセーヴル焼の大ファンで重要な顧客だったそうです。この部屋のヴァンセンヌ時代の磁器コレクションの中にも、ポンパドゥール夫人のポプリ壺のセットが展示してあります。微妙なニュアンスの色が美しい壺ですよ。
ヴァンセンヌ時代の磁器はいかにも貴族好みのロココな装飾が特徴です。細部にまで行き届いたデザインや、細かい絵付けなど、その仕事ぶりに感動です!
テーマごとのデザイン
ずらりと並ぶセーヴル焼の展示
セーヴル焼ではあるテーマにそったシリーズの磁器が作られています。このフロアにもシリーズごとに展示してあるのでそれも要チェックです。
例えば博物学者ビュフォンの「鳥の自然史」シリーズ。お皿やカップには様々な鳥の絵が丹念に描かれています。それから、ミルクカップのシリーズは牛の絵やヤギの絵が描かれていたり、なんと乳房の形のカップも。遊び心満点です。また、フォンテーヌブロー城に飾られているお皿のシリーズは、お城の歴史を語る美術品とも言えます。ルイ・フィリップ王が歴史にとても興味を持っていたのを表しています。
歴史と言えば、色んな職種の労働者を絵に描いた「職業」シリーズも展示されています。これは当時の様々な職業の仕事場の様子を描いたもの。働く人達の風景が活き活きとして、当時の暮らしや労働者の雰囲気を知るうえで貴重な資料にもなっています。
セーヴル焼の工房
|
 |
こちらは印刷工房
|
 |
ガラス工房
|
職業シリーズ |
フォンテーヌブローコレクション
こちらの美術館をくまなく見て回るには、1時間半ぐらいみておくといいと思います。セーヴル焼はもちろんですが、古代からのバリエーションに富んだ陶磁器のコレクションはとにかく圧倒的です。陶磁器のファンならばぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
現在も伝統工芸を守り続けるセーヴル焼。その繊細な職人技も堪能して下さいね。
以上、パリナビでした。