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オープンから人気沸騰!パリの美食家たちの間で話題のお店。ナチュラルワインと素材を活かした自然派のレストラン。

こんにちは、パリナビです。今日はナチュラルな雰囲気いっぱいのレストラン、サテュルヌをご紹介します。シェフは3つ星レストラン、アルページュで修行したズウェン・シャルティエ。素材を活かした繊細なお料理は、さすがアラン・パッサール仕込み?でも、全然気取らないお店です。木のぬくもりを感じるインテリアで、肩がこらずに楽しめます。そして、何といってもワインリストがすごい!パリのナチュラルワインを扱うレストランの中でも一番と言っていいほど充実しています。ナチュラルワインファンには絶対に見逃せないセレクションです。

ナチュラルテイストで落ち着いた雰囲気の店内

まず入ってすぐ目につくのはバー・コーナー。レストランはその奥です。通路を抜けると、意外や広い店内。天井はガラス張りで、昼間なら太陽の光が入って気持ちよさそう。インテリアはシンプルでナチュラルな雰囲気。黒い革張りのイスがシックです。そして明るい色の木肌そのままのテーブルとよくマッチしています。まるみがあってすべすべしているテーブルを前に座ると、なんだかほっと落ち着けます。

ナチュラルワインが充実!

ワインを中心に軽くランチをとりたいなら、バー・コーナーで。ハムの盛り合わせなどと一緒にワインがいただけます。でも夜は予約がいっぱいなので、こちらも食事席になってしまいます。ずらりと並んだワインはすべてナチュラルワイン。入り口横の棚に並んでいるワインはテイクアウト用で、ボトルに値段がついています。
ところで、「ナチュラルワイン」というものをご存知ですか?無農薬で栽培したブドウを使い、醸造するときにも化学酵母を入れたり濃縮したりしないで、自然の酵母だけで発酵させたワインです。そして、一般に酸化防止のために使用されるSO2(二酸化硫黄)をまったく加えないか、加えても必要最低限にとどめているものが多いのが特徴です。よく、「ワインを飲むと翌日頭が痛くなる」という人がいますが、このSO2がその原因のひとつなので、ナチュラルワインなら二日酔いの心配も少ないのです。(とはいえ、飲み過ぎにはやっぱり注意!)このお店のワインセレクションは、ソムリエのエウェン・ル=モワーニュによるもの。ワイン生産者を直接訪問し、どんなワインか自身のセンスで見極めて選ぶ彼のこだわりが表れています。だから、ここでしかお目にかかれないナチュラルワインもあるのです。
レストランでサーブされるワインは、本棚のようなセラーにきれいに並んでいます。このセラーは、どんなワインがあるか、お客さんからも一目瞭然、とても見やすくて、そのうえちゃんと温度管理もされているすぐれモノです。
このセラーだけでもずいぶん種類がありますが、地下にカーヴもあり、ワインリストは本当に充実しています。それはテーブルについてから渡されるワインメニューで実感。いくらワインが好きな人でも目を通しきれなさそうなほど分厚いのです。「会社の会議資料?」と見間違えるくらい。だからワイン選びはソムリエにおまかせするのが一番シンプル。フランスではお料理にワインを合わせる「マリアージュ」が重んじられます。ソムリエにお願いすればその日のお料理にぴったりのワインを選んでくれるはず。ただ、このお店のナチュラルワインはとっても個性的なので、先入観なしで味わってみて。

素材を活かした癒しのお料理

さて、お料理は、価格によって2コースありますが、どちらもおまかせコース。他のレストランのようにメニューから自分で好きな一品を選ぶという形式ではなく、もうお料理が決まっているので、好き嫌いがはげしい人にはちょっと不向きかもしれません。逆に、食べることに好奇心旺盛な美食家さんは、きっとわくわくさせられるでしょう。メニューはシェフがその日に素材を見て決めるから、季節のものが中心で新鮮です。そして、質の良い素材の味を活かすスピリットは和食にも通じるものがあり、日本人の舌とお腹にぴったり。伝統的フレンチのようには重たくなく、疲れたときにじんわりと美味しさが身にしみる癒しのお料理なのです。
今回いただいたのは4品+デザートのコース。

1品目。エプートル(古代麦の一種)、イカ、ハムの一品。
上からかかっているムースはブール・クラリフィエ(溶かしバターの上澄み)ですが、しつこくない味わい。エプートルのぷちぷちした食感がおもしろい一品。

2品目。スコルゾネラ(西洋ごぼうの一種)、ノルマンディー産山羊のチーズ、オクサリス(カタバミ)の一品
ノルマンディー産山羊のチーズは、冷凍したものをすりおろしていて、ふわふわ。温かいスコルゾネラと冷たいチーズのコントラストも楽しめました。

3品目。オマール海老とムール貝、フライドポテト添え。
「フライドポテト添え」とメニューに書いてあったのですがお皿の上には見当たらず、「どこにあるの?」と思ったら、オマール海老にのっている天かすのような揚げものがそうでした。こちらもポテトをすりおろして揚げていて、今までに食べたことのない形態のフライドポテトでした。こんなサプライズもあって楽しい!

4品目。リムーザン牛のステーキ、チョロギ添え。
表面は直火グリルされていて香ばしく、中の赤身はとっても柔らか。

追加注文したコンテチーズは薄くスライスされていて、口のなかでふわっととろけます。ふだんは厚めに切って食べますが、それとは舌ざわりが全然違って驚き。

最後に、プラリネとキャロブ(マメ科の一種)とチョコレートのデザート。
パンもおいしいのでつい手がのびてしまいます。ちなみにこのパンは、クリストフ・ヴァスールのパン屋、「ドゥ・パン・エ・デ・ジデ(Du Pain et Des Idees)」に注文しています。ドゥ・パン・エ・デ・ジデはパリ10区のサンマルタン運河近くにあり、このレストランからはちょっと遠いのですが、それでもわざわざこのパン屋に指定しているところに「おいしいもの」へのこだわりが感じられます。

急がずあわてず、ゆっくりとリラックスしてお食事

難をいえば、一品一品がサーブされる間隔が長くて、待っているあいだにワインが進んでしまいました。いつもそうとは限らないようですが、ものすごくお腹が空いているときはちょっとつらいかも…。
でもせっかくですから、急がずあわてず、時間を気にしないで、恋人やお友達とゆっくり楽しんではいかがでしょうか。
いつも満席の店内はとてもにぎやか。ライトもあまり明るすぎない間接照明だし、テーブルはスペースがあって狭苦しくなく、おいしいワインとお料理でみんなリラックスして楽しそうです。
幸せな気分に浸りつつ、「サチュルヌ」の夜は更けていくのでした…。

サテュルヌ(SATURNE)、そのココロは…

エウェン・ル=モワーニュ(左)とズウェン・シャルティエ(右)

エウェン・ル=モワーニュ(左)とズウェン・シャルティエ(右)

ところで、店名「サテュルヌ(SATURNE)」とはフランス語で土星の意味ですが、実は「ナテュール(NATURES)」のアナグラムだそうです。なるほど、やっぱりナテュール=自然がコンセプトなお店なのですね!自然といえば、フランスはオーガニックブーム。消費者も意識して有機栽培の野菜などを買うようになってきました。でも、オーガニックをうたう商品が必ずしも人をあるがままの自然に近づけてくれるとは限りません。スーパーで過剰包装されていたり遠い国からはるばる輸入されている無農薬野菜を見ると、ベンダー側はマーケティングに有利だからという理由でオーガニックを志向しているのでは、と疑ってしまうこともあります。生産が工業化され、流通もシステム化された現代社会で暮らしているのだから、仕方ない部分もあるのでしょう。でもこのお店では、素材が単にオーガニックであるという以上に、大地の恵み、テロワール、そして丹誠こめて手をかける生産者とのつながりを感じさせてくれます。なぜって、個性的なワインや、これだけ質が良く新鮮な素材をそろえられるのは、やはり生産者を知らなければできない技です。自然のアナグラム、土星を名乗るだけのことはありますね!


お料理とワインのどちらもすばらしいこのお店、2010年9月にオープンしてすぐ、パリの美食家たちのあいだで話題になり、1週間前から満席の人気店です。必ず予約してからお出かけください!シェフのズウェン・シャルティエとソムリエのエウェン・ル=モワーニュの若手コンビ、これからが楽しみです!以上、パリナビでした。
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記事登録日:2011-02-01

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2010-12-23