ヴィクトル・ユーゴーの家

ヴィクトル・ユーゴー記念館Maison de Victor Hugo

閉店・移転、情報の修正などの報告

フランスを代表する作家、ヴィクトル・ユーゴーが16年間暮らした家。作家の生涯をしのばせる貴重な展示品がいっぱいです。

ヴォージュ広場6番地が入口です

ヴォージュ広場6番地が入口です

こんにちは、パリナビです。今日はみなさんをある著名人のおうちにご案内しましょう。その人とは、「ノートルダム・ド・パリ」や「レ・ミゼラブル」などでおなじみの、フランスを代表する作家ヴィクトル・ユーゴー。マレ地区にあるヴォージュ広場は17世紀の素晴らしい建築の建物に囲まれていますが、ヴィクトル・ユーゴーの家もこの建物の中にあります。改修工事のため休館中でしたが、2021年6月にリニューアルオープンを果たしました。今回は特別展のユーゴー直筆のデッサン展も含めてご案内したいと思います。では早速行ってみましょう!

美しい広場に面したアパート

この階段を上がって2階が美術館

この階段を上がって2階が美術館

ヴィクトル・ユーゴーの家があるのは、ヴォージュ広場に面した建物の一つである旧「ロアン・ゲメネ館」という旧貴族邸の2階(日本式で3階)部分です。ユーゴーはここに1832年から1848年まで家族で住んでいました。美術館としてオープンしたのは1903年です。ここにはユーゴーがこれまで暮らした家から寄付された調度品などをそろえて、その時代ごとの作家の生活をうかがい知ることができるようになっています。詩人・作家として大成功を収めたものの、ナポレオン三世による第二帝政に反対の立場を取ったことでイギリス領の島へ亡命したりと、その生涯はなかなか波乱に満ちたものです。この美術館では分かりやすく、展示室を亡命前・亡命中・帰国後と3つの段階に区切って見学できるようになっています。

亡命前 エントランスと赤の間

ユーゴーがこの家に引っ越してきたのは1832年。すでに戯曲「エルナニ」や長編小説「ノートルダム・ド・パリ」で大成功をおさめ、若くして名誉勲章を与えられるなど、ユーゴーの人生は順風満帆でした。エントランスには、ユーゴーの子供時代や若いころにまつわる思い出の品が展示されています。
エントランス

エントランス

カジモドの像がありました

カジモドの像がありました

赤の間

赤の間

ヴィクトルとその息子

ヴィクトルとその息子

エントランスに続くのは赤の間。名前のとおり深紅の壁が印象的なとても広い部屋です。ここはレセプションの間として使われていて、その頃交流のあった著名人たちがユーゴーと語り合った場所でした。その顔ぶれも、ゴティエ、ラマルティーヌ、デュマ、メリメなど、そうそうたるメンバーが揃います。窓辺には大きなユーゴーの胸像が昔と同じように配置されています。この部屋にはユーゴーの家族の肖像画が主に展示されており、妻のアデル、長女のレオポルディーヌ、そして次男のフランソワ・ヴィクトルと一緒に描かれた若いころのユーゴーの肖像画も見ることができます。

亡命中 中国の間・食堂

中国の間

中国の間

ナポレオン三世による帝政復活に反対だったユーゴーは、身の危険から守るため、ベルギーを経てイギリス領のガーンジー島に亡命します。そこでユーゴーは中国風のインテリアに囲まれた家で暮らしましたが、この中国の間に揃えられた展示品はそのガーンジー島時代の膨大なコレクションです。実はこれらの品々は、ユーゴーの愛人だった女優のジュリエット・ドルーエがもともと所有していたもの。妻アデルの浮気により失意の中にあったユーゴーは、ドルーエと知り合い熱烈な恋に落ちます。ドルーエもユーゴーを追うようにガーンジー島に家を構え、この中国風サロンのインテリアに夢中になったということです。集めるだけでなくデザインにも才能を見せたユーゴー。家具に刻まれたイニシャル(V H)がそのインテリアデザインの才能を物語っていますね。
その隣にある食堂もまたガーンジー島時代のものです。ここは中世風のインテリア。ユーゴーはドルーエや息子のシャルルと骨董を買い付けるのを日記につけるほど没頭していたようです。古い家具を別の家具に作り替えたりと、ユーゴーがここでも独創性を発揮しています。
ユーゴーがデザインした飾り棚。VHの文字が入っています

ユーゴーがデザインした飾り棚。VHの文字が入っています

磁器、陶器のコレクションも目を見張ります

磁器、陶器のコレクションも目を見張ります

コレクター、インテリアデザイナーとしても才能を発揮 コレクター、インテリアデザイナーとしても才能を発揮 コレクター、インテリアデザイナーとしても才能を発揮

コレクター、インテリアデザイナーとしても才能を発揮

帰国後 書斎と寝室

ユゴー晩年の寝室

ユゴー晩年の寝室

さて、最後はユーゴーの書斎と寝室です。1870年にようやくフランスに帰国したユーゴー。書斎にはレオン・ボナによる晩年の肖像画がかけられています。ベストに手を入れたポーズは、みなさんにもきっとおなじみの絵ではないでしょうか。また、フランスにおける写真の先駆者であるナダールによるポートレート写真、ユーゴーを生涯支えたドルーエの肖像画もこちらに展示されています。壁にかけられた絵には、小説のワンシーンを描いたものもありますよ。
ユーゴーは1885年、16区の自宅にて息を引き取りました。ここにはその寝室が再現されています。葬儀は国葬となり、沢山の人達が参列に加わったということです。現在はパンテオンに眠っています。
レオン・ボナによる肖像画

レオン・ボナによる肖像画

ジャン・ヴァルジャンとコゼット

ジャン・ヴァルジャンとコゼット

ユーゴーとデッサン

特別展・ユーゴーとデッサン

特別展・ユーゴーとデッサン

さて、建物の1階(日本式2階)部分は、特別展のためのスペースとなっています。今回はユーゴーの残した筆画デッサンのエクスポが開催されていました。旅先での風景や建物を描いたものなど、ユーゴーは作家としてだけでなく、絵にも素晴らしい才能を持っていることが分かります。ユーゴーのデッサンは常設展の部屋にも展示されているので、ぜひチェックしてみて下さい。
特別展より 特別展より

特別展より

常設展の書斎にある絵 常設展の書斎にある絵

常設展の書斎にある絵


美術館には小さいながらもちょっと一息入れることができる中庭があり、地上階にはカフェも併設されています。特別展が開催されている期間は有料になりますが、エクスポのない通常営業中は入場料は無料です。文豪の家を無料で見学できるのはうれしいですよね。窓からはヴォージュ広場を眺めることもできるので、当時と変わらない素敵な景色も楽しめますよ。
ぜひリニューアルしたユーゴーの家に遊びに来て下さい!
以上、パリナビでした。









記事登録日:2021-08-11

ページTOPへ▲

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2021-08-11