安い、早い、美味しいの3拍子揃ったフランスの大衆食堂。定番のフランス料理がリーズナブルな値段で味わえる。行列をしても食べてみたい大人気レストラン。
こんにちは、パリナビです。パリの外食は高い!というのが一般常識。レストランにもよりけりですが、平均すると、前菜が10ユーロ前後、メインでも20ユーロほど、それにデザートが7~9ユーロにコーヒーが2ユーロちょっと、それに加えてワインも頼んだら・・・結構な出費になりそうです。せっかくの旅行ですから高級なレストランでシックに食べたい気持ちもありますが、毎回それではお財布もちょっとキビシイですよね。
そこでご紹介するのは、フランス人なら(多分)みんな知っている、そして観光客の間でもすでに人気の超庶民派レストラン、シャルティエです。何しろ値段が驚くほど安い、そして昔のパリの食堂そのままの気取らないダイナミックな雰囲気で、毎晩行列が出来るお店なのです。
では早速行ってみましょう!
予約を取らないレストラン
赤い看板が目印
シャルティエはパリの9区、メトロ8,9号線のグラン・ブールバール駅のすぐそばにあります。道に出ている赤い矢印のネオンサインが目印。お店は通りの少し奥まったところにありますが、時には通りの外にまで行列ができることもあるのです。それと言うのも、このお店では予約を取らないから。午前11時半から開店して閉店は22時、その間ノンストップ営業です。しかも毎日オープンしています。ナビが行ったのは平日の午後7時半だったので行列はありませんでしたが、お店の中はすでにいっぱいでした。週末や午後9時ごろだともっと混みそうです。というわけで早めに行けば行列をせずにすみますが、もし行列ができていたとしてもあまり待つことはありません。というのは、案内係がお客さんの人数を訊いて、それに合うテーブルにどんどん入れていくからです。したがって2人や3人で行くと相席になります。これも食堂風。
労働者のための食堂
常連がナプキンを仕舞っていた引き出し
シャルティエは1896年に、美味しいものをお値打ちに提供する、というシンプルなコンセプトで創業。以来100年以上に渡って、地元の労働者の胃袋を満たしてきました。お店の中に、小さい引き出しのある棚があちこちにあるのですが、これは昔、常連たちが自分のナプキンをそれぞれの引き出しに仕舞っていた棚なのだそうです。
お店に入ると、その内装に圧倒されます。広い店内に高い天井、整然と並んだテーブル、そしてアール・デコの壁は鏡張りになっている部分が多く、お店がより広く感じられます。オープン当時からほとんど変わっていない内装はとてもクラシックで、一見高いお店に来てしまったかな、と思ってしまいます。
ですがここは食堂。白黒のギャルソンスタイルで決めたウェイターさんたちが所狭しとキビキビ動き回っているので、お邪魔にならないようさっと案内された席に着きましょう。
店内に入るとこの熱気!
毎日変わるメニュー
毎日刷られるメニュー表
席にに着くと、印刷された紙がテーブルに置いてあります。これが毎日刷られるというメニュー。内容はその日によって少しずつ変わりますが、どれもベーシックなフランスの定番料理です。
メニューをみて驚くのはとにかくその安さ。前菜はスープ1ユーロから始まり、2、3ユーロ台が殆どで、高くてもフォアグラ7ユーロ。例外的に一番高いのはエスカルゴ12個で13.20ユーロです。メインも8ユーロ台から11ユーロ台。こんな値段で食事のできるお店はまずありません!
決まったら注文ですが、ここでシャルティエの名物ともいえるオーダー取り。テーブルには紙のクロスが掛かっていて、何とウェイターはここにオーダーを書いていくのです!ちょっと解読不能な文字で注文をどんどんメモしていきます。そして頭の中にきっちり入るんですからすごいですね。
フランスでは食事は前菜+メイン+デザートが基本ですが、ここではそういうことは気にしなくても大丈夫。前菜だけ複数頼むとか、メインだけにするとかも可能です。
シンプルに美味しい料理
エスカルゴ6,6ユーロ
今回は、前菜にスープ(Potage du jour maison/1ユーロ)、ネギのマヨネーズドレッシング(Poireaux vinaigrette/3.50ユーロ)、エスカルゴ6個入り(6 escargots/6,60ユーロ)、そしてメインに、カモのコンフィ小ジャガイモ添え(Confit de canard pommes grenailles/9,80ユーロ)と子羊のグリルフライドポテト添え(Cotes dagneau grillees, frites/11,20ユーロ)を注文しました。
ネギとソースが合う
スープは色んな野菜をとろとろに煮込んだママの味。エスカルゴもいけます。ソースをパンにつけるのを忘れずに。ナビはネギが気に入りました。茹でたネギにマヨネーズのようなソースがたっぷりかかっている、それだけなんですが、ネギの甘みとソースの酸味がちょうどよいのです。これは家でも真似してみたい!
カモのコンフィは初めて食べたのですが、値段のわりにかなり美味しいです。しょっぱめなのでしっかり味がついているのが好きな人にはぴったり。付け合せのジャガイモは、日本にはない品種でしょうか。粉っぽくなく、ねっとりとした口当たりがカモと合ってとても美味しいのです。
子羊は反対にあまり味がついていません。ステーキ類は、基本薄味で出てきます。テーブルにある塩コショウでお好みの味にしてくださいということです。
どの料理もシンプルで、特別なことは何もありません。でもちゃんとお値段に見合った、またはそれ以上のものが出て来ました。
デザートも豊富
最後はやっぱりデザートで締めましょう。色々迷いますがプロフィットロール(Chou glace vanille, chocolat chaud/4ユーロ)は外せません。ここのプロフィットロールは、大きなシューが一つ。その中にバニラアイスが入っていて、上からビターのチョコレートソースがたっぷりかかってきます。お腹いっぱいのはずなのに、ぺろりと入ってしまいました。
さて、前菜3つにメイン2つ、デザートは全部で3つ、そしてワインの460mlと後で25mlを追加して、お会計57ユーロ。パリのレストランでのディナー、このお値段では普通頂けません!お腹も満足、ウェイターさんの陽気で素早いサービスも良かったですよ。
常に満席の店内
とにかくお店の賑やかな熱気と早足で歩き回るサービス係に圧倒されることでしょう。あと、食事が出て来るのが早いのにも驚きです。
ずっと満席の状態が続くので、店内はざわざわとして静かに話をするのには向きません。また、ウェイターもテーブルを掛け持ちして忙しく駆け回っているので、ゆっくりと丁寧なサービスを期待してはいけません。パリの食堂の活気を一緒に楽しみに行くつもりで出かけてみて下さい。きっと人気の訳が納得できることと思います。以上、パリナビでした。Bon Appétit!