世界中の食いしん坊を虜にし、パティシエから常に注目されているお菓子たち。一度は訪れたい高級ホテルのサロン・ド・テ。
こんにちは、パリナビです。今日は日常を飛び出して、パラスホテルのサロン・ド・テ「ラ・ギャラリー・デ・ゴブラン」をご紹介します。そのホテルとは「プラザ・アテネ」。高級ブティックが立ち並ぶモンテーニュ通りにあります。このホテルにはアラン・デュカスともうひとり、世界にその名を知られているシェフがいます。シェフ・パティシエ、クリストフ・ミシャラクです。パティスリーの世界大会でフランスチームのキャプテンとして、チームを優勝に導いた実力者。そのお菓子を味わうために、足を運ぶ人も多いとか。そして高級ホテルに泊まるのは難しくても、その優雅な空間とサービスを体験できるのがサロン・ド・テ。夢のような場所で世界トップレベルのお菓子を味わえるとあれば、行かずにはいられませんね。
パラスホテルのひとつ「プラザ・アテネ」
ところでパラスホテルって何のこと?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。パラスとはフランス語で宮殿のこと。歴史、サービス、設備の全てにおいて、最高級のホテルのみに与えられるホテルのカテゴリーのひとつです。1911年創業の歴史あるプラザ・アテネはパリに7つしかないパラスホテルのひとつ。ちなみにその7つとは「プラザ・アテネ」「リッツ・パリ」「ホテル・ドゥ・クリヨン」「ジョルジュ・サンク」「ル・ブリストル」「ル・ムーリス」「フーケッツ・バリエール」です。
メトロを出てモンテーニュ通りを進むと、鮮やかな赤色のゼラニウムが目印となってホテルが見えてきます。シンボルカラーの赤色は、フロント、屋根など様々なところで使われています。
優雅な空間フロントを過ぎると
優雅な空間フロントを過ぎると、そこはサロン・ド・テの入口となっています。威厳あるホテルのイメージとは違った、フォークとスプーンの銅像がおちゃめですよね。横に長く伸びたサロン・ド・テには、上品なムッシュとマダムの姿がちらほら。立派なソファーが高級感を演出しています。
パリコレクションのようなメニュー
メニューを見てみるとその構成がとってもオリジナル。プラザ・アテネと洋服、この2つの世界はモンテーニュ通りで繋がっています。そこからイメージしたのがデフィレのメニュー。パリ・コレクションではデフィレというとファッション・ショーを意味します。例えば「どんな服装?」という見出しの下にはワインリスト、「春コレクション」はサロン・ド・テのメニュー、といった具合です。
サロンは朝の8時から利用できますが、ケーキのサービスが始まるのは15時から。このケーキワゴンがサロン・ド・テの醍醐味でもあります。どれかを選ぶことなんてできない!という幸せな悩みの相談に親切に応じてくれるのが、サービスの方。ひとつひとつ丁寧に説明してくれます。
世界一に輝いたケーキ メニューのカルトに載っているデザートは、レストランの食事の際にでてくるようなプレゼンテーションで登場します。そこから注文したのは「ロレアード( L’Oréade)」。2005年に優勝したパティスリー世界大会において、ニンフ(ギリシャ神話に出てくる森・山・水の精)のテーマに基づいてミシャラクさんが創ったデザートです。ワインの産地であるローヌ渓谷で採れたフランボワーズと、アルザス産キルシュの繊細な香りの組み合わせが際立ちます。フランボワーズのクーリ、生クリーム、プラリネ・フィユテのビスキュイ、フランボワーズ。さらに丸ごとのフランボワーズ入りのキルシュの効いたバニラのアイスクリーム、という非常に手間のかかった構成です。フランボワーズの甘酸っぱさ、絹のようなアイスクリームの口溶け、プラリネのさくさく感・・。素材の風味、食感、温度、それを合わせたときに生まれる新たな味わいと調和。ここまで考えられて創られた、世界一に輝いたデザートです。
魅惑のワゴンケーキ
鮮やかな赤色が印象的なミシャラクさんの代表作のひとつ「レッド・パワー (Red Power)」。苺のコンフィとババロワのケーキ。底にはアーモンドのフィナンシエ、ケーキの真ん中には苺のコンポートが隠れています。
塩バターキャラメルのルリジューズ(La religieuse au caramel beurre salée)は、お持ち帰りする人も多いという人気のケーキ。まったりと濃厚なクリームなのに、ぺろっと食べることができるのは、塩バターキャラメルの風味が絶妙だから。
苺のタルト(Tarte à la fraise)はさくっと薄いサブレ生地の上に、やわらかいピスタチオのビスキュイとピスタチオ風味の生クリーム。ピスタチオはシシリー産、苺はガリゲット産と素材のおいしさが生きるタルト。
季節のフルーツを使うタルト。苺の季節が終わると、フランボワーズとアーモンドに変わります。まるまるとしたジューシーなフランボワーズとなめらかでミルキーなマスカルポーネクリームのベストコンビ。
長いミルフィーユは注文ごとにカットしてくれます。ハラハラ崩れ落ちるパイ生地は見事。
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レモンケーキなどのケーク類は隠れた人気者。
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さくっと軽いメレンゲ、アーモンド風味のマスカルポーネのクリームとアプリコットのケーキ。いそぎんちゃくのような形がユニーク。
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通常は三角形のクラフティが、アイスクリームのコーンの形に変身。遊び心も忘れません。
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ベネズエラ産、カカオ分66%のショコラ・ショー。酸味が強く、独特な味わい。銀のポットがサロン・ド・テの雰囲気にぴったり。
敷居が高いと思っていても、勇気を出して「えいっ」と中に入ると、その居心地の良さに自然とリラックスできるサロン・ド・テ。ホテル内の庭も見えて、時がたつのを忘れてしまいます。季節によってケーキの種類が変わるのも楽しみです。ぜひ足を運んで、世界チャンピオンのケーキとゆったりと流れる時間を満喫してください。以上、パリナビでした。