パラスホテル内にあるミシュラン2つ星レストラン。豪華な内装と、温かいサービス、日本の素材を使った洗練されたフランス料理です。
こんにちは、パリナビです。そのパリにあるパラスホテルのひとつが「フォーシーズンズ・ホテル・ジョルジュサンク(Four Seasons Hotel George V Paris)」です。凱旋門、シャンゼリゼ通りからもほど近いこのホテルには、世界中からお客さんがやってきます。この中に、ミシュラン2つ星レストラン「ル・サンク(Le Cinq)」があります。シェフはエリック・ブリファー氏。プラザ・アテネなどのレストランにもミシュランの星をもたらしたシェフは親日家。料理にも日本の食材を使っていますが、その料理は確かにフランス料理であり、かつチャーミング。確かな技術と知識、遊び心あふれる料理です。そして温かみのある最高のサービスと、豪華で優雅な雰囲気。足を踏み入れると、これから始まるレストランで過ごす時間に、わくわくせずにはいられません。
2012年ミレジムのオリーブオイル
ホテルの入り口など随所に見られる見事な花々は、フラワー・アーティストのジェフ・リーサム氏によるもの。レストランの入り口にも飾られています。奥行きのある広い空間は、大きな窓からは自然光がさしています。席につくとサービスの方が「飲み物はいかがですか?」。そしてすぐに運ばれてくるアペリティフをつまみながら、メニューを決めます。ふと見るとテーブルの上にはオリーブオイルが置かれています。これはイタリア・シチリア島でつくられた2012年のミレジムで非常に香りが高く、シェフのおすすめだそう。これを味わうために用意された、キメの細かいふんわりしたパンにひたしながらいただきます。
別に運ばれてきたパンはミニバケッド、トマト風味のブリオッシュなど、どれもおいしそう。バターは、三ツ星レストラン御用達の「ボルディエ」の有塩バター、海藻バター。様々なところに卸されているボルディエのバターですが、レストランによって微妙に配合を変えたり、形を変えたりしているそう。すべて職人の手で形づくられています。
アペリティフを頂きながらゆっくりとメニューを選ぶことができます。
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どれにしようか迷ってしまうパン。
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次にアミューズ・ブッシュ。海老を開いたものと、その頭を揚げたもの、旬のグリーンピースのヴルーテと玉ねぎのムースの3種類。「海老の頭も食べる」ということは、フランスではめずらしいそう。日本人の特徴的な食べ方として認識されているようで、日本に精通したシェフらしさが感じられます。ヴルーテとは「なめらかな」という意味で、スープとピュレの間のようなもの。野菜の甘みと、淡いグリーンとミルク色が春らしい一品です。
オーダーメイドの美しいお皿。
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3種類のアミューズ。
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ひとつの前菜に2つのお皿
前菜はグリーン&ホワイトアスパラガス、フォアグラ、手長海老、カニなど全部で6種類。どれも魅力的ですが、頂いたのは「Morilles fraiches et asperges blanches」。旬のフレッシュなモリーユ茸とホワイトアスパラガスです。運ばれてきたお皿は、何とも意外。アスパラは縦に置かれ、鮮やかな色のにんじん、ごろりと大きなモリーユが、まるで「春の畑」を思わせる盛りつけです。そしてグリーンピースのムースリーヌの真ん中にはとろりとした卵の黄身が入ったもの。まるで金魚鉢のような器は、温泉のような気持ちのよい温かさ。最後まで料理が冷めないように、という工夫がされています。シンプルで定番の組み合わせに、素材に対する愛情が伝わってくるよう。卵の料理はおかわりができそうでした。日本の食材をよく知るシェフらしく「トロ」の一品もありました。こちらは、パリのトロ料理で一番?と思わせる絶品の一皿でした。
ホワイトアスパラガスを立てて盛りつけ、まるで春の畑のよう。
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パステルカラーが春らしい一品。
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上質のトロとキャビア。何とも豪華な組み合わせ。
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モリーユ茸のスープ。金の器に金粉が。
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魚は「セニャン、ア・ポワン、ビヤン・キュイ」?
一本釣りのスズキ。身はふんわり、しっとり。
わくわくする瞬間。
銀色の大きな蓋をされた料理は、お客さんの目の前でその姿を表します。楽しみがさらに増す、嬉しいパフォーマンスです。身の厚いスズキは「Bar de ligne」といって、一本釣りをされたもの。美しい白色で、ふっくらかつしっとり。レモンの風味とオリーブオイルのビー玉、ほくほくのアーティチョークにミントが香ります。シェフの料理はバターよりもオリーブオイルを多様しており、爽やかで軽く、素材の魅力を最大限に引き出しています。と同時に、濃厚で「これが肉だ!」というがっつりとした肉料理も、シェフのスペシャリテでもあります。
最後までおいしく味わうために
ブルビのアイスときゅうりの組み合わせ。これが意外なおいしさ。
次はお楽しみのデザートが待っています。すると「お水をどうぞ」と、コップを差し出してくれました。何だろう?これはドイツの「Black Forest」という天然水で、口の中をニュートラルな状態にするためのもの。次のデザートをおいしく味わうための、細かい気配りです。するとデザート前の小さなデザートが登場。ブルビのアイスクリームときゅうりのジュレ、横にはタプナードが添えられています。デザートにきゅうり?と疑いながら口にすると、意外なおいしさ。さっと溶けるさっぱりとしたチーズのアイスと、ほんのり甘みのあるきゅうりがなんとも爽やか。サラダの組み合わせが、デザートになるとは驚きです。
ルバーヴの色が何ともきれいなデザート。
ルバーブのデザートは、フランボワーズ風味のフォンテーヌブロー、ラム風味のアイスクリームが上にのっています。ルバーブの色あいが美しく甘酸っぱく、フェミニンで、やさしい味わいの一品です。
特別な日に訪れたいレストラン
食後にはプティフールという小菓子がワゴンから選ぶことができます。アンリ・ルルーのショコラ、キャラメル、そしてヌガーなど。お茶と一緒にいただきながら「何て素敵な時間をすごしたんだろう」と充実感がわいてきます。ミシュランのレストランですが、決して堅苦しくなく、ファミリー的なサービスで、最初から最後までリラックスすることができます。特別なときに、自分へのご褒美に、記念日に、ぜひ足を運びたいレストランです。今年、エリック・ブリファー氏の30年の集大成の本「Eric BRIFFARD LE CINQ」が誕生しました。重さ約3,5キロの重く、美しく、大きな本も注目です。以上、パリナビでした。