20世紀を代表する偉大な芸術家パブロ・ピカソの美術館。昔の貴族の邸宅をそのまま美術館として使用しているので建物自体の雰囲気も最高!
マレ地区の貴族の邸宅が美術館
こんにちは、パリナビです。長い年月をかけて改装を行っていた美術館が2014年にようやくリニューアルオープンしました。世界中のファンが待ちに待っていたピカソ美術館です。オテルと呼ばれる昔の貴族の建物が今なお残るマレ地区、そのほぼ真ん中に位置するこの美術館も17世紀のオテルの一つ。他の美術館とは一味違う風格を持っています。大邸宅のような豪華な空間で数えきれないコレクションを展示するピカソ美術館、パリに来たら行きたい美術館のトップクラスに返り咲きです。では行ってみましょう!
「塩の館」にある美術館
予約での入場がおすすめ
オテル・サレ(塩の館)という建物の名前の由来は、17世紀の所有者であったフォントネー氏が塩税の徴収に当たる役人だあったことからこう呼ばれています。建物は1964年にパリ市の所有となりました。この美術館にはピカソの遺族によって収められた約5000点の作品を収蔵しています。初期から晩年に至るまでが階ごとに展示され、分かり易く見ていくことができます。チケットは日程が分かっていれば、並ばずに入れる事前予約が賢明です。チケット売り場の横にはオーディオガイドの貸し出しもあります。残念ながら日本語バージョンはありませんがフランス語や英語でも良ければ、作品の説明が詳しく聞けるので借りてみてもいいでしょう。
青の時代とキュビズム
0階ギャラリー
自画像
館内は地上0階から3階と地下1階の5階構造です。各階も小さな部屋ごとに分かれています。
地上階0階は大まかに1910年台までの作品がテーマごとに展示してあります。入ってすぐにある「自画像(1901)」、いわゆる「青の時代」の作品です。その横に、晩年の作品「若い画家(1972)」が並んで展示してあるのも興味深いところ。
女性をモチーフにした作品群では、「ラ・セレスティーナ(1904)」などが展示されています。さらにキュビズムの原点、「アヴィニヨンの娘たち(1907)」の制作過程の展示も。
新古典主義と超現実主義
「浜辺を駆ける二人の女(かけっこ)」
1階ギャラリー
1階に上がってみましょう。彫刻の施された天井や壁などが素晴らしい階段とその上のホールを抜けると、コラージュ作品や「肘掛け椅子に座るオルガの肖像(1918)」に代表されるピカソの新古典主義スタイルの作品群から始まり、ピカソのスタイルもバリエーションに富んでいます。「浜辺を駆ける二人の女‐かけっこ(1922)」もこの階にあります。各階にはピカソの彫刻もところどころに見られるのですが、女性像を大胆にメタモルフォーゼした絵画と彫刻群も見どころです。
恋人をモデルにした「ドラ・マールの肖像(1938)」「マリー・テレーズの肖像(1937)」などもこのフロアにあります。
「肘掛け椅子に座るオルガの肖像」
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「ドラ・マールの肖像」
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戦争の時代から近代へ
「縞の帽子」
2階はピカソが好んで題材にした闘牛の作品群から始まり、「縞の帽子(1939)」など戦時中に専ら集中して描いた女性像が並びます。
ピカソの力作、「朝鮮の虐殺(1951)」もこのフロアです。他にもピカソは権力者と弱者を「鳥を捕える猫(1939)」で表現しています。
南フランスに移り住んだピカソが日常の何気ない風景や子供たちをモデルにした作品「デッサンをするクロード, フランソワーズ, パロマ(1954)」はまたスタイルが違って穏やかな作品です。明るい南仏の太陽の影響か「牡牛の頭のある静物(1958)」のように色彩もより鮮やかでコントラストの強い作品も展示されています。
ピカソは他の画家たちの影響も強く受けました。「草上の昼食・マネに基づく(1960)」はタイトル通りマネの絵画をモチーフにオリジナルの解釈を加えた作品。2階もバラエティーに富んだセレクションです。
「デッサンをするクロード, フランソワーズ, パロマ」
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「牡牛の頭のある静物」
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「草上の昼食・マネに基づく」
ピカソ自身のコレクション
3階ギャラリー
3階はピカソ自身が購入や交換によって入手した他の画家たちの作品が展示されています。シャルダン、クールベ、ルノワールにセザンヌなど前の時代の巨匠たちの絵画に加えて、ジョルジュ・ブラック、アンリ・マティス、アンドレ・ドランなどピカソと親しくしていた同じ時代の画家たちの作品です。ピカソは好んで作品の交換をしていたそうですね。画家を知る上では本人のコレクションはなかなか興味深いものだと思います。
一番上のこの階は天井裏のような風情が残っていて素敵な空間ですよ。
ピカソのアトリエ
ブラッサイによる写真
地下1階はピカソの制作風景を垣間見られるフロアです。時代によって変わるアトリエの様子や制作過程が、写真家のブラッサイやピカソの恋人でもあったドラ・マールの写真に収められています。あの名作「ゲルニカ」の制作過程が一連の写真となって展示されているのも見どころです。さらに大型のシリーズ作品「Les Baigneurs(1956)」の彫刻群や、「乳母車を押す女(1950)」など、彫刻の名作もこの階で見ることができます。
ブティックとカフェ
ブティック
エントランスの右手にはブックストアとミュージアムグッズが揃うブティックがあります。ピカソ関連の本がずらり。そしてお土産にも合いそうな文具や小物もピカソ作品がデザインされています。
このブティックの横にある階段を上ると、セルフ式のカフェにつながっています。屋根裏カフェという名前の通り、白を基調としつつも天井の梁がアクセントになっていて屋根裏的なスペースです。カフェはもちろん軽食も用意してあります。店内のほか、テラスも利用できますよ。
とにかく膨大な数のコレクション。なおかつ鑑賞するには快適なスペースが取ってあるのがいいところです。全部のフロアをゆっくり見て回るには時間をたっぷりとって行きましょう。
間近で見る作品群は迫力があって素晴らしいです。皆さんもぜひピカソの世界に浸って下さいね。
以上、パリナビでした。