ジュ・ド・ポーム美術館

ギャラリー・ナショナル・デュ・ジュ・ド・ポームGalerie nationale du Jeu de Paume

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写真、映像関係中心の現代アート美術館。書店には展示した歴代のアーティストの作品集が並び、見るものを飽きさせません。

こんにちは、パリナビです。数あるパリの美術館の中でも、写真や映像芸術に特化した美術館として人気のある、ジュ・ド・ポーム美術館(Musée du Jeu de Paume)。企画展のオープン時には入場待ちの長い列ができることもあります。立地もコンコルド広場の目の前でチュイルリー公園のすぐ隣と、抜群のシチュエーション。場所柄観光客が多いと思いがちですが、写真を勉強している人やモダンアートのファンなど、フランス人も多く訪れる美術館です。どっしりとした外観とモダンな内装のジュ・ド・ポーム美術館。では見学してみましょう。

ジュ・ド・ポームとは

この建物が造られたのは、ナポレオン三世の時代です。ジュ・ド・ポームというのは、テニスの原型と言われるスポーツの名前のこと。そのジュ・ド・ポーム屋内コートをチュイルリー公園の横手に建てたのがはじまりでした。大きさは長さ80メートル、幅13メートル、天井の高さはだいたい4.5メートル、アーチ型の窓と正面入り口の円柱が印象的なずっしりとした縦長の建造物です。面積は約1200平方メートルあります。
アーチ型の窓が印象的

アーチ型の窓が印象的

ジュ・ド・ポームの歴史

隣はチュイルリー公園

隣はチュイルリー公園

1909年に、建物は展覧会のための場所となり、1922年の改装後は、企画展だけでなく常設展示も行う美術館として生まれ変わりました。その時から、リュクサンブール美術館の新館的な存在として、その当時どんどん台頭してきた外国人芸術家たちによるモダンアートを、ジュ・ド・ポームにて発表していくようになります。
1930年代には、エコール・ド・パリ、いわゆるパリ派の画家たちの作品がここで次々と展示されていきました。モディリアーニ、キース・ヴァン・ドンゲン、ピカソ、シャガール、シャイム・スーティンに日本のレオナール・藤田…。名前を挙げるだけでもすごい顔ぶれですね。
第二次世界大戦中はドイツの占領軍によって、ユダヤ人から没収した美術コレクションを格納する場所として使われていました。
戦争後の1947年、初めて「ジュ・ド・ポーム美術館」という名前でオープン、印象派の画家たちの作品を展示するようになります。しかし1986年にオルセー美術館が開館したことによって、印象派の作品たちはそちらへ引っ越すこととなりました。
1987年からの内装工事によって、展示室の増築やオーディオヴィジュアルのサロン、図書室にカフェなどが作られ、自然光を取り入れた明るい空間が生まれました。1991年に国立美術ギャラリーとして開館後は、近代アートに加え映像美術にも力を注いで、若い世代にもアピールし続けています。

色んなスタイルの写真展

白が基調の館内

白が基調の館内

中に入ってみましょう。白い壁の内装はとてもモダンで、いかにもコンテンポラリー・アートの美術館といった雰囲気です。大きな窓からは外からの光がたっぷり入るようになっていて、天気のいい日には遊歩道の緑が映えます。パリの真ん中に位置しているにも関わらず、ゆったりとしたスペースのある周りの環境のおかげで、落ち着いた気分で鑑賞できます。
ジュ・ド・ポームは地上階と1階、地下1階の3階構造になっています。常設展はなく、それぞれの階で4、5ヶ月スパンの企画展示が開かれています。
展示室も、アーティストのスタイルに合わせて様々な方法で展示してあるところが見どころのひとつです。ただ壁に写真が並べてあるだけでなく、立体的な展示方法であったり、映写機を多数使っての映像的な展示であったりと見る者を飽きさせません。
角砂糖でできたモザイク

角砂糖でできたモザイク

例えば今回ナビが見学した時には、モザイクのような写真が並ぶ一角があり、よく近づいて見てみるとなんと色の違う角砂糖で出来たモザイク画だった、とか、床に映った写真の真ん中に排水溝があり、写真がその中に吸い込まれていく様子、など、いかにもモダンアートな展示が印象的でした。
また、グループによる見学会が開かれたり、家族で鑑賞する子供のためのエクスポを常時開催しているほか、アーティストによるワークショップが開催されることも。こういった教育的な部分での活動に力を入れているのも、ジュ・ド・ポームの特色です。
映像作品の展示も様々 映像作品の展示も様々

映像作品の展示も様々

展示フロアによって雰囲気も変わる 展示フロアによって雰囲気も変わる 展示フロアによって雰囲気も変わる

展示フロアによって雰囲気も変わる

ブックストア

チケット売り場の奥にはブックストアがあります。こちらでは、開催中のエクスポに関するカタログやポストカード、ポスターを買うことができます。面積はとりわけ広いわけではないのですが、やはり写真や視覚芸術、映像芸術に関する本がずらり。過去にエクスポを行ったアーティストの本もちゃんと揃っていて、目に着きやすいところに並んでいます。また、本だけでなく、現代アートや映画のDVDも販売しています。小津安二郎監督の作品の5本セットまでありました。
中2階にはカフェが併設されています。セルフ式の小さなカフェですが、軽食もある居心地のいい休憩スポットです。
写真やモダンアートの本が揃う書店。写真右は中2階のカフェ 写真やモダンアートの本が揃う書店。写真右は中2階のカフェ 写真やモダンアートの本が揃う書店。写真右は中2階のカフェ

写真やモダンアートの本が揃う書店。写真右は中2階のカフェ



ジュ・ド・ポームは伝統とモダンが融合した面白い美術館です。企画展の開催後は、次の企画展まで数日間クローズしていることがあります。ウェブサイトでスケジュール確認してから行くのがベターです。
美術館の裏側に出るとチュイルリー公園の並木道があり、鑑賞後の散歩にはとても良さそうです。コンコルド広場の反対側へは観光客で賑わうリヴォリ通りが続いていますが、ナビはこの遊歩道がおすすめです。観光地の中にあるオアシスといった感じですよ。ぜひ足を伸ばしてみてください。
以上、パリナビでした。


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記事登録日:2014-06-20

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スポット登録日:2010-05-18

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