ゴッホ、ルノワール、ミレーなどの巨匠の作品が展示されている、駅舎の面影を残す美術館。
こんにちは、パリナビです。
パリの主要美術館の一つとして欠かせない存在のオルセー美術館(Musée d’Orsay)。パリに来たらとりあえずここは抑えておきたい、という人も多いと思います。印象派の画家達の作品をメインにした美術館というイメージですが、他のジャンルの絵画や彫刻、そして常時開催される特別展など見どころはいっぱい。駅舎を改造して造られたことで有名な建物自体もとても素晴らしい建築です。では19世紀のアートの世界へ入ってみましょう。
美術館めぐりの必須スポット
駅舎から美術館へ
駅舎の名残り、大時計
皆さんもよくご存じの通り、オルセー美術館はもともと駅でした。ナポレオンの時代に遡り、オルセー宮という公共施設があったのが最初です。会計院や国務院によって使用されていましたが、パリ・コミューンの時期に焼失してしまいます。その後オルレアン鉄道によってターミナル駅の建築案が出されることになりました。駅には370室のホテルも併設され、1900年のパリ万博の年に開業、運行が始まりました。
しかし1930年代に入ると様々な問題が頻発し、1939年にはターミナル駅としての運行は中断されます。ホテル施設だけがその後も営業を続けていました。
最上階からの眺め
その後、1978年に駅舎が歴史的記念物に指定され、ポンピドゥー大統領により美術館の計画が立てられました。こうして紆余曲折の末、1986年にオルセー美術館が誕生したのです。
彫刻と象徴主義のギャラリー
ドーム型の天井
ではいよいよ中に入ってみましょう。
チケットのチェックを通って中に入ると、大きく開けた空間が目の前に広がります。真ん中は吹き抜けになっており、ドーム型の天井からは光が差し込みます。壁の花模様の彫刻も駅舎時代のものです。すでにこの時点でなかなかの感動ものですよ。
展示室はフランス式で0階、2階、5階からなっています。
まずは案内図を手に入れておきましょう。
オーディオガイドは5ユーロで借りることができます。
オルセーのシンボル、Pompon作の熊像
まず0階。真ん中の通路は彫刻が並び、その脇の通路には象徴主義の展示室、反対側には企画展とおおまかに分けられます。
彫刻は19世紀半ばから終わりにかけての様々な流派の作品が並び、その芸術史を垣間見ることができます。
入り口を背にして左手の回廊には、ミレーの作品群があります。「落穂拾い」や「晩鐘」などが有名なところでしょうか。さらにイタリアの画家やバルビゾン派の絵画が続き、その奥へ入ると企画展の展示室というつくりになっています。
右手の回廊は古典主義のギャラリー。アングルやカバネルといった巨匠の作品が並びます。さらにパリ派、ロートレック、象徴主義のナビ派など、展示室が細かく分かれているので、自分が今どこにいるのか把握しましょうね!
0階の一番奥はオペラ・ガルニエのコーナーがあり、オペラ座の断面模型が展示されています。これも一見の価値ありです。
このオペラコーナーの奥に、5階まで直通のエスカレーターがあるので、すぐに5階へ行きたい人には便利ですよ。
ミレー「晩鐘」
後期印象派とアール・ヌーヴォー
ゴッホ「星月夜」
次に2階へ進んでみます。大時計を背にして右手には、後期印象主義、新印象主義のギャラリーです。ここではゴッホ、ゴーギャンといった、日本人にも特に人気の高い画家の作品が展示されています。ゴッホの力強い筆触は目の当たりにすると非常に迫力があります。点描のような新印象主義のコレクションも豊富です。
この回廊のすぐ横はロダン、ブールデル、マイヨールなどの彫刻のギャラリー。オルセー美術館は彫刻にも力を入れています。
豪華絢爛な宴会室
吹き抜けを挟んで反対側にも19世紀後期の彫刻群が。その奥の回廊は、アール・ヌーヴォーなどの装飾芸術の展示室です。見事な彫刻を施されたテーブルや椅子などなど・・・。単に家具という言葉では括れません、やはり芸術品です。
この階でぜひ見ておきたいのは、大時計の脇にあるSalle des Fêtes。ホテル時代の名残りを残す宴会室ですが、そのきらびやかなこと!一瞬オペラ座にいるような感覚に陥りました。
大時計の裏側は階段やエスカレーター、エレベーターがあり、トイレも途中階に設置してあります。
ではいよいよ印象派の階、5階へ上ってみましょう。
最大の目玉、印象派ギャラリー
5階から見る館内
モネ「青い睡蓮」
5階はこの美術館のメインと言ってもい、印象主義絵画のギャラリーです。見ていく順としては、大時計の反対側からになります。ここから見る大時計と美術館の全容も素晴らしいですよ。ドーム型の屋根が近くに迫り、大時計を正面に見ると、駅舎だった様子が想像できます。オルセーの建物自体が好きという人が多いのも納得です。
さて、印象主義ギャラリーでは、初期の作品群から20世紀初頭に至るまで時系列に見ていくことができます。マネ、モネ、セザンヌにルノワール、ドガ・・・美術の教科書で必ず見た絵画のオンパレード。画家として認知されることが多いドガの彫刻も。題材はやはり踊り子です。この階はやはり人も多めなので、疲れないうちに見ておく方がいいかも知れません。印象派の世界にどっぷりと浸かれるフロアです。
ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場」
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モネ「モネの家の庭、アイリス」
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レストラン、カフェ
5階の「カフェ・カンパナ」
2階のレストラン
見学に疲れたらひと休憩。館内のレストラン施設は3つあります。まず0階のオペラ座コーナーの横にあるCafé de l’Ours。セルフサービスのカジュアルなカフェで、軽く休憩したいときにぴったり。サンドイッチやパティスリーなどの軽食もあります。
2階のレストランは、ホテル時代のものをそのまま利用しています。その内装は昔さながらのとてもデラックスな空間。贅沢なひと時を過ごせます。
5階の印象派ギャラリー出口に続くle Café Campanaは、アール・ヌーヴォーへのオマージュとしてデザインされたブラッスリー。特に窓の外には注目。二つある外の大時計の一つがこのお店の窓になっているのです。これもまた一見の価値ありですよ!
カフェ・カンパナの窓は外の大時計
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もう一つの大時計は印象派ギャラリー入り口に。
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書店、売店
印象派の画集が揃う
ミュージアムショップも充実しています。書店には印象派を初めとするアート本やDVDが勢ぞろい。そしてオルセーグッズも、絵画や彫刻をモチーフとした小物やアクセサリーに置物など、色んなお土産があります。ナビが見つけたのはその名も「オルセーの蜂蜜」。採取された日付が入った125グラム瓶で15ユーロ。食べずにそのまま取っておきたい?!
オルセー美術館の入場料は大人11ユーロですが、他の美術館と提携したお得なセット販売もあります。例えばオランジュリー美術館とのパスポートチケットは16ユーロ。ロダン美術館とのパスポートチケットは15ユーロ。さらにギュスターヴ・モロー美術館やオペラ・ガルニエにはオルセーの半券提示で割引料金が適用されます。他の美術館も予定している人には耳よりな話ですね。
ちなみに現在美術館内は撮影禁止となっています。写真が撮れないのは残念ですが、その分実物の良さをぜひとも目に焼き付けて下さいね!
以上、パリナビでした