モンマルトルの丘にある、ロマネスク様式・ビザンティン様式の寺院。
こんにちは、パリナビです。
パリ市の北部、モンマルトルの丘に佇む寺院、サクレ・クール。真っ白なドーム型の寺院は、パリの最も重要な観光名所のひとつに挙げられます。また、パリの7つの丘でも一番高いモンマルトルのてっぺんに建つことから、市内のあちこちからその姿を目にすることができます。いつも沢山の礼拝者や観光客が訪れるサクレ・クール寺院とはどんなところでしょう。
白亜の寺院
サクレ・クール寺院の歴史
昔は風車と葡萄畑の村だったモンマルトル
19世紀後半、普仏戦争とパリ・コミューンによって亡くなったフランス市民のために建築の構想が始まったと伝えられています。40年の年月をかけて、完成したのは1914年。ところが第一次大戦のために奉献が延期され、戦争の終わった後、1919年にようやく奉献され市民に開放されることになりました。
建築様式はロマネスク様式・ビザンチン様式。ノートルダム大聖堂に見られるゴシック様式とは異なり、ベニスのサンマルコ寺院などの影響を受けたスタイルとなっています。バジリカと呼ばれるビザンチン式のドームスタイルはフランスでは少ない方です(フランス語ではバジリックといいます)。
サクレ・クールという名前の寺院はマルセイユなどフランスの他の都市のほか、ベルギーのフランス語圏であるリエージュなどにも存在します。
というわけで、モンマルトルのサクレ・クールの正式名称は、バジリック・デュ・サクレ・クール・ド・モンマルトル、となります。
丘の上の寺院
アンヴェール駅正面の道。
土産物屋が連なる。
映画「アメリ」で一躍有名になったモンマルトル。小さな細い道が網の目のように入り乱れて迷子になりそうな界隈ですが、サクレ・クールへのアクセスで一番簡単なのはメトロ2号線のアンヴェール(Anvers)駅。駅を降りて目の前の坂道を登っていけばすぐに寺院前のサン・ピエール広場に着きます。駅からの坂道は両脇に土産物屋がずらりと並んでいてすでに観光地の雰囲気。
12号線のアベス(Abbesses)は、寺院に向かって左側に出る形になります。一見近いようですが、メトロの外へ出るのが一苦労です。地下から丘の上まで上がることになるので、階段を使うととても大変。エレベーターを気長に待つしかありません。でも観光地っぽいところよりモンマルトルらしい雰囲気の道を歩きたい人は、こちらで降りてもいいと思います。
さて、サン・ピエール広場から、さらにサクレ・クール寺院へは、いくつか上り方があります。階段で上がるのはちょっと…という人は、広場の脇にケーブルカー乗り場があるので、安心してください。メトロやバスと共通の回数券で乗ることができますよ。足に自身がある人はその横の階段でどうぞ。寺院の横手に着きます。
(ちなみに寺院の正面から階段で上がって行く場合は、途中でミサンガの押し売りがいるので気をつけて下さい。)
では入ってみましょう
間近に見ると迫力があります
内部は撮影禁止。こちらはポストカード
ずっしりとした寺院を目の前にするとかなり圧倒されますが、中に入るとまた圧倒的に荘厳な雰囲気。まず正面のキリスト昇天のモザイクが目を引きます。1923年に完成したこのモザイク画は、475平方メートルで、世界最大のモザイクの一つです。
そして礼拝堂を取り囲んで左右と後方には、様々な聖人のチャペルが並んでいます。その一つ一つが非常に見応えのあるものです。残念ながら内部は撮影禁止。写真はポストカードです。礼拝堂の中ではキリスト教関係の本やポストカード、メダイユ等を売っていますので、記念にどうぞ。
見学する人たちのかたわら、熱心にお祈りを捧げる信者の姿も沢山見られます。厳かでありながら静かで優しい、独特な空間を作り出しています。
ドームに昇ってみる
さて、足腰に自身のある人はドームの中に入って上まで昇ってみてはいかがでしょう。寺院の左手、半地下の入り口に、ドームへ上るチケット売り場があります。ドーム見学だけだと6ユーロ。中へ入ってみると、薄暗く狭いらせん階段がどこまでも続きます。幅は一人分がやっとというぐらいです。一旦外に出て、さらに続きがあります。階段は300段とのこと。この古めかしい階段は、なかなか普段では味わえないスリルがありますよ。
やっと昇りきったところで目の前に広がるのは、パリ市内の眺望。寺院の前でもパリの景色を望むことができますが、さらにその上まで上がって見る360度の大パノラマはまた格別に違います。これだけで昇ってきた甲斐があるというものです!天気が良ければぜひ挑戦してみてください。
下りはまた同じ階段を延々と下りていきます。ヒールのある靴ではちょっと危ないかも知れませんので、ドームに昇りたい人は歩きやすい靴を履いて行きましょう。
パリ市が一望できます
サクレ・クール近辺
テルトル広場
寺院の裏手の通りは、観光地ではありながら下町らしい雰囲気があります。モンマルトルは絵画の街、いたるところにギャラリーや絵画のお店があり、かの有名なテルトル広場もすぐそば。クリスマスの時期は寺院の脇からマルシェ・ド・ノエルが並びます。
寺院の周りは観光地でもあるので大丈夫ですが、モンマルトル界隈は道を外れるとあまり治安の良くない場所に出ることがありますので、夜間の見学の際は特に注意してください。
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サクレ・クール寺院は朝6時から夜22時半まで毎日開いています。午前中に2回、午後から夜間にかけて2,3回ミサの時間がありますので、チャンスがあればミサを見学できるかも知れませんね。
白亜の寺院はとにかく一見の価値ありです。モンマルトル界隈の散策も含めて、時間を取ってゆっくりと見てまわってください。
以上、パリナビでした。