パリの左岸と右岸

よく耳にする「パリ左岸」。「左岸って何?」という方のために、パリの左岸と右岸についてご紹介します。

こんにちは。パリナビです。みなさんは、「パリ左岸」という言葉をしばしば耳にしたことはないですか? 「パリ左岸」とは、セーヌ川より南のエリアを指します。区で言うと5区、6区、7区、13区、14区、15区のこと。「左岸」とはよく言うのですが、なぜか「右岸」とはあまり言いません。が、一応「パリ右岸」はセーヌ川より北のエリアを指します。つまり、1区、2区、3区、4区、8区、9区、10区、11区、12区、16区、17区、18区、19区、20区のことです。セーヌ川は東から西へ(地図で見ると右から左へ)流れているため、川の流れと同じ方向に立つと、自分の右側が「右岸」、左側が「左岸」となるわけです。ということで今回はパリの地域事情についてご紹介します!

パリ左岸

パリ左岸。カルチエ・ラタン(5区)やサンジェルマン(6区)、モンパルナス(14区)、アンヴァリッド(7区)などがあるエリア。右岸より左岸の方が観光客が少ないため、落ち着いています。左岸は、全体的に治安が良いと言えるでしょう。
【左岸人種】
移民も増えているので少々変わってきてもいますが、昔ながらの左岸人種は「中流階級の上クラスで、政治的には心情左派」。職業は作家、評論家、編集者、ジャーナリスト、映画やテレビ、広告業界の人など。ちなみに…Yves Saint Laurent rive gauche(イヴ・サン・ローラン・リヴ・ゴーシュ)というブランドがありますが、この"rive gauche"は「左岸」という意味! それとか、左岸マダム御用達のデパートLe Bon Marché(ル・ボン・マルシェ)の正式名称はLe Bon Marché Rive Gauche。こんなところからも、左岸人種が左岸をこよなく愛していることが伝わってくるのではないでしょうか。ちなみに「右岸人種」という言葉はありません。
左岸人種の特徴を、多少戯画化、誇張して表してみましょう。

○男女とも比較的身長があり、脂肪もついていなければ、不必要な筋肉もついていない。

○「サッカー」は「左岸的ではない」。
サッカー嫌いの人たちは、ワールド・カップのときもサッカーに見向きもしない。
 (日本では普段サッカーに興味ない人でも、ワールド・カップのときだけは日本代表を応援する人もいますよね。パリにも Paris Saint-Germain (パリ・サンジェルマン)というサッカーチームがあるのですが…)

○「メトロは嫌い」、「テレビは嫌い」と言う人が多い。

○Bio(オーガニック)ショップを利用している人の割合が高い。

○ファッション・センスに自信を持っている。
彼らのファッションは、シンプルでカジュアル。色は黒、紺、グレー、ベージュ、茶色、カーキー、白などベーシック・カラーしか使わない。好みの素材はコットンやウール、革など。逆に嫌われるのは、ポリエステルや毛皮。特に毛皮は「絶対に左岸的ではない」。
※16区あたりに行くと、ブランド物を持っている人を多く見かけますが、左岸ではあまり見かけません。

パリ右岸

パリ右岸。先ほどもふれたように、右岸には左岸のような「左岸人種」とか、「左岸的」とかいう表現はありません。エリアによって全然違うというのが特徴でしょうか。観光スポットも左岸よりたくさんあります。そのため、スリも多いようです。

華やかなシャンゼリゼ(8区)やオペラ(2区と9区)などは年中観光客がたくさんいます。マレ(3区と4区)も観光客に人気ですが、地元のファッション・ピープルやゲイたちでもにぎわっています。
サン・マルタンやラ・ヴィレット(10区と19区)の方に行くと、「ボヘミアンな雰囲気」のバーやカフェ、レストラン、ライブハウスなどが並んでいます。北駅、東駅などフランス国鉄の主要ターミナル駅もあり、その周辺にはインド系、アフリカ系などの店がたくさんあり、面白いかもしれません。北の方に歩いていくと、新開発エリアのラ・ヴィレットに着きます。
またオベルカンフ(11区)やバスティーユ(12区)は、リーズナブルで美味しいカフェやバーがたくさんある、「ユース・カルチャーの夜遊びエリア」です。アーティストもたくさん住んでいます。
そしてヴィクトル・ユゴー/トロカデロ/パッシー(16区と17区の南西)に行くと、シックなエリアが広がっています。16区はブルジョワのエリアなので、道を歩いている人たちはみんな上品な雰囲気で、ブランド物所有率が高いです。ちなみに日本人駐在員ファミリーも多く住んでいます。
モンマルトル(17区の北東と18区)に行くと、サクレ・クール寺院や、たくさんの画家がいるテルトル広場が有名で、「アーティストのエリア」と言えます。またムーラン・ルージュなどのキャバレーもあり、「夜遊びスポット」としても知られています。

【モンマルトル在住者】
モンマルトルに住む人の多くはモンマルトルをこよなく愛していて、「他の場所には住めない!」と言う人も。確かに、雰囲気のある坂道、映画「アメリ」に出てきたカフェ、パリに一つしかないとっても小さなワイン畑、パリを一望できる丘…愛すべき要素はたくさんあります。
……このように右岸は、左岸のように一言では表せず、エリアによってだいぶ違う雰囲気になります。

いかがでしたか? 観光客が行く場所は、たいてい1ケタの区ですね。2ケタの区まで足を踏み入れたら、地元の人間になった気分になるでしょう。パリジャン・パリジェンヌたちは、パリの中で自分のお気に入りのエリアを見つけたら、あまりそのエリアから出ないという人が多いのです。用事があってどうしても行かないといけないときに、「自分のエリア(いわば自分の縄張り?)」から出るという感じでしょうか。特に「川を渡る」という意識が強く、左岸在住者・左岸を好む人たちの中には、「川を渡ってこっち(左岸)に戻ってくると、ほっとする」という人もいます。逆にマレやモンマルトルに住んでいる人で、「川を渡ってあっち(左岸)に行くことはあんまりない。1年に1度くらいかな?」という人もいます。みなさんも、是非パリの中で自分の好きなエリアを見つけてみてくださいね。以上、パリナビでした。
関連タグ:左岸右岸雰囲気

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記事登録日:2010-10-15

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