シャンティイ城のエクスポジションに行って来ました!

シャンティイ城で行われている『猿と龍Singes et Dragons』 展と『征服された者たちと征服者たちConquis et Conquérants』展に行きました。

こんにちは、パリナビです。今回はパリ郊外にあるルネサンス様式のシャトーを代表するシャンティイ城で行われている、2つのエクスポジションに行って来ました。シャンティイ城の中には19世紀の城主だったオマール公の絵画コレクションを展示するコンデ美術館Musée Condéがありますが、今その美術館で、中国と日本をテーマにした展示会『猿と龍Singes et Dragons』 展が行われています。同時に11世紀から19世紀の貴重な古書や地図などの資料が保管されている図書館では『征服された者たちと征服者たちConquis et Conquérants』という、興味深いテーマのエクスポジションが開かれています。 さっそく見に行きましょう。

中国と日本をテーマにした『猿と龍』展

『猿と龍』展の会場には18世紀、フランス人が中国、日本をはじめ、東洋の文化や芸術に関心をよせ、異国趣味と呼ばれる芸術・文化が一つの潮流となった時代に、当時のシャンティイ城主ブルボン公が集めた、日本や中国から輸入された工芸品、および、それにインスピレーションを受けて作られた、とされるフランスの芸術家や職人たちの手に寄る作品が展示されています。ブルボン公は、日本や中国の陶器類やタピスリーなどに大きな関心をもちましたが、輸入品をコレクションすると、莫大なお金がかかってしまうので、フランス人画家に絵柄をコピーをさせ、それを元に職人たちにそのイミテーションを作らせよう、と思い至ったのです。

まず、会場入り口に置かれていたのは、日本から輸入された17世紀製の長持ち。ウィンドー内に展示されているのは陶製の動物の置物、壺などで、こちらは18世紀にフランス人職人の手に寄って作られたものです。

フランス人職人が模倣した日本の磁器類などが並んでいます

18世紀当時、フランスでたいへん人気が高かったのが、日本の有田焼の柿右衛門様式の磁器類でした。それを模倣した食器類が kakiémon の名前で展示されています。コピー商品の規制法など存在しない時代、一国の城主が堂々と日本の有名な焼き物のイミテーションを作らせていたなんて、ちょっと興味深い話ですね。
こちら、右の箱の中におさめられているのが本物、つまり日本から輸入した柿右衛門様式の食器類で、他がフランスで作られたものです。なるほど、ティーカップ、砂糖つぼ、フォークやナイフ、サラダボールなど、食器のスタイルは西洋風にアレンジされています。
ブルボン公はお抱えの画家に、中国などから輸入したタピスリーの模様もコピーさせました。
美術館と同じ階にグランド・アパルトマンと呼ばれる、コンデ公の居室群があります。17~18世紀にかけて装飾されたこの居室群には、伊万里焼をはじめとする東洋から輸入されたつぼが飾ってあったり、壁や天井に猿が描かれた中国画をモチーフにした装飾が施されている部屋があったり。ルネサンス様式の荘厳できらびやかな室内に東洋的な装飾品がしっくりと収まっているのは何とも不思議です。そういえば、このシャンティイ城は姫路城と和親条約を結んでいるので、日本との縁も感じられます。

貴重な古書が展示される『征服された者たちと征服者たち』展

そして、もう一つのエクスポジションは、テーマががらりと異なって『征服された者たちと征服者たちConquis et Conquérants』展というタイトルのもの。展示会場はグランド・アパルトマンの一角にある図書室で、11世紀から19世紀の貴重な古書や地図など1万3千点が所蔵されています。アレクサンドル大王、カエサル、十字軍、ナポレオン、大航海時代、アルジェリアでの植民地支配などのテーマで、ヨーロッパの征服の歴史について記された古書が展示されています。フランス語やラテン語が読めなくても、この厳かな雰囲気のある図書室で、数百年も前に書かれた本を目にすると、歴史の重みを感じます。
大征服者として知られるアレクサンドル大王

大征服者として知られるアレクサンドル大王

カエサルについて記述されている書

カエサルについて記述されている書

大航海時代のついての書

大航海時代のついての書

羊皮紙に書かれた文書

羊皮紙に書かれた文書

ヨーロッパ征服史を簡単に説明する展示パネルも

ヨーロッパ征服史を簡単に説明する展示パネルも

会場のシャンティイ城

シャンティイ城はパリから電車で約30分、駅から徒歩で約20分。近くにはフランス・ダービーの行われるシャンティイ競馬場、馬の博物館などの観光スポットもあります。城の庭は17世紀の造園家ルノートルが手掛けた美しいフランス式庭園もあり、天気のいい日は散策するにぴったりです。

エクスポジションは『猿と龍Singes et Dragons』展は2012年の1月1日まで、『征服された者たちと征服者たちConquis et Conquérants』は2011年の12月19日まで。この機会にぜひ、シャンティイ城を訪れてはいかがでしょうか?以上、パリナビでした。

開館時間 10h-18h
休館日 火曜
入場料 13euros(割引料金については問合せ、または下記サイトを参照のこと)
問合せ 03 44 27 31 80
www.domainedechantilly.com

 

その他情報

○『猿と龍Singes et Dragons』 展
期間:~2012/1/1

○『征服された者たちと征服者たちConquis et Conquérants』展
期間:2011/12/19

開館時間 10:00-18:00
休館日 火曜日
場料 13ユーロ(割引料金については問合せ、または下記サイトを参照のこと)
問い合わせ先:03 44 27 31 80
ホームページ:www.domainedechantilly.com

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2011-10-11

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