トーキョー?ネーミングの由来は昔この場所に「トーキョー通り」があったから。現在は現代アートの中心として活躍中!
こんにちは、パリナビです。パリでの美術館めぐりは、パリ旅行では絶対欠かせない予定のひとつだと思います。ルーヴルやオルセーなどは王道の美術館コースですが、今活躍する新進アーティストの作品も興味がある、という人には、パレ・ド・トーキョーをお勧めします。その名前からしても何となく親近感が沸きませんか?パリの美術館の中でもかなりオリジナリティーのあるパレ・ド・トーキョー、色んな見どころがあってコンテンポラリー・アートのファンならずとも楽しめる美術館です。では、行ってみましょう!
16区にある美術館
なぜトーキョー?
プレジダン・ウィルソン通り側入り口
建物は中庭をはさんで東側と西側とに分けられ、東側はパリ市立近代美術館(Musée dart moderne de la Ville de Paris)が入っています。西側の建物がパレ・ド・トーキョー・現代創造サイト(Palais de Tokyo / Site de création contemporaine)という名称で、これらを含めた建物がパレ・ド・トーキョーと呼ばれています。
まず名前を聞いておや、と思いますよね。実は美術館が面しているセーヌ河沿いの通りは、昔、トーキョー通りという名前だったのです。1945年に現在のニューヨーク通りに改名されましたが、この建物だけはそのままもとの名前のとおり残っているというわけです。ちなみに、プレジダン・ウィルソン通り側の美術館の入り口前に「トーキョー広場」がありますが、広場と言うにはあまりにも小さい(笑)。昔の名残りがささやかにあるといった感じです。
現在の美術館は2002年にオープンしましたが、以前はタペストリー工場でした。その後、パリ万博の一環として、国立近代美術館としてオープンしたのが、今の形態の先駆けです。1977年にポンピドゥーセンターが開館したため、国立近代美術館はそちらに移転、2002年に新しく現代美術のための美術館として、現在の形で再オープンしました。
美術館の前のトーキョー広場
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右側がパレ・ド・トーキョー、左側が市立近代美術館
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常設展示のない美術館
チケット売り場
さて、パレ・ド・トーキョーの一番の特色と言えば、常設展示のないことでしょう。開催されるのは企画展示だけ。数ヶ月スパンで、複数のエクスポがそれぞれの展示室で開かれます。いつ行っても違うエクスポが見られるとは面白い発想ですね。
建物の中は、コンクリート打ちっぱなしのとても現代的な空間。天井が高く、色んな形での展示ができるようになっています。そして、準備中の展示物までむき出しになっているのには驚きです。準備の段階から見せてしまおうというアイデアは奇抜で斬新、このあたりも現代アートの美術館らしいと言えるのではないでしょうか。
さらに、夜中の12時まで開館しているので、晩御飯を食べた後でも見に行けます!パリの美術館でここまで遅くオープンしているところは他にありません。そのかわり、オープンは昼の12時と遅めです。昼間は別の美術館へ行って、夜はパレ・ド・トーキョーへ、というコースも可能ですね。
自由なスタイルの企画展示
斬新なアイデアで展示される
パレ・ド・トーキョーは22000平方メートルという、ヨーロッパのコンテンポラリーアートのサイトでも最大級の広さを持っています。ひとつひとつの企画展示が、その空間の広さを最大限に生かしてあるのも見どころです。展示内容は、オブジェ展示、写真、プロジェクター上映など。クリエーターのイメージ通りに、とにかく自由に展示できるようになっています。各展示室ごとに全く違った世界が広がり、見る方を飽きさせません。コンテンポラリー・アートはよく分からないナビでも、単純に楽しめるスペースでした。
パリの美術館には時折校外学習の子供たちが訪れていますが、ここでも子供たちのグループに遭遇。他の美術館では大人しく座って説明を聞くだけですが、ここでは遊びの感覚で引率の大人と楽しんでいました。パレ・ド・トーキョーでは、美術鑑賞ではなく、こういった子供のためのアクティビティーを企画しているのです。やっぱりどこか他の美術館とは違うようです。
全部違う顔でセルフ・ポートレートが撮れます
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展示室を結ぶ階段。ちょっと怖いかも!
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美術本の宝庫!
膨大な品揃え
館内には書店兼ギフトショップが併設されています。その本の種類の多さにはびっくり。デザインにアートに、美術本の好きな人なら何時間も過ごせそうなほどの品揃えです。しかも、他の本屋ではなさそうなレアなものや、自費出版の本など、ここでしか見つからないものもあります。
遊び心いっぱいのノート類もありました。スクラップペーパーで作ったノートや(再生紙ではなくまさにスクラップ!)、色んな場所の壁の写真で出来ているノート(壁に落書きするという発想でしょうか)、パリがモチーフになっているノートも、土産物屋にあるようなものとはやはり一味違ってユーモアがあります。パレ・ド・トーキョーの名にちなんでか、日本に関する本もありました。このお店なら、ひと癖ある変わったお土産を探すのにも良さそうです。
また、カフェやレストランも入っています。とてもカジュアルな雰囲気で、インテリアもお洒落です。休憩にどうぞ。
居心地のよいカフェ
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レストラン Tokyo eat
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セーヌ河に面した中庭
東館と西館の間には、セーヌ河を臨む中庭があります。5月から9月まではレストランのテラス席になっているのです。セーヌに向かって食事できるなんで素敵ですね。さらにもう1階下には、ニューヨーク通り沿いの美術館入り口があり、敷地内ではスケートボードを楽しむ子供たちの姿がありました。ここはセーヌ河が真正面に流れ、さらにはエッフェル塔も近くに見えます。ただのんびりと日向ぼっこする人もいましたが、その気持ちもなんだか分かるようです。それにしてもセーヌ河の方向からみる美術館は、昔の神殿のようでなかなか迫力がありました。
現代アート好きな人ならぜひ訪れて欲しいパレ・ド・トーキョー。でももちろん、あまり興味がないという人でも、きっと楽しめること請け合いです。堅苦しい美術館の空気はなく、来館者のそれぞれが、自分の好きなように時間を過ごす場所、という印象を受けました。この自由な雰囲気こそが、パレ・ド・トーキョーの魅力なのでしょうね。
以上、パリナビでした。