外出制限により人通りのなくなってしまった道路
こんにちは、パリナビです。
2020年に世界中で猛威を振るっているコロナウィルス。その広まり方は非常に早く、あっという間にヨーロッパにまで到達してしまいました。フランスは他のヨーロッパ諸国の中では高い感染者数と死亡者数にのぼり、3月17日からはついに外出制限の措置が取られていました。
カフェやレストランをはじめ全ての店舗が営業停止、仕事もテレワーク、そして仕事上どうしても使わなければいけない場合のみ、証明書携帯でメトロなどの交通機関が認められていました。また、自宅から出てもよいのは食料品などの買い物、定められた時間帯でのジョギング、犬の散歩、子供を日光浴させることを目的とした散歩に限られ、いずれも政府発行による証明書に署名したものを携帯していなくてはなりませんでした。
では、この措置が緩和される5月11日以降、フランス、そしてパリはどのような対策を続けるでしょうか。首相による政府発表、そしてパリ市長の発表を元にカテゴリー別にご紹介します。
現在のフランス
緑のゾーンが規制緩和を進める地域、赤のゾーンはまだ制限が続く地域です
現在、フランスは二つの色によって感染のリスクを示しています。緑色のエリアは感染が収束に向かっている地域、そして、赤で示してあるエリアは、まだ感染の拡大が懸念される地域です。
赤のエリアは主にフランスの北東部からパリのあるイル・ド・フランス圏まで広がっています。このエリアでは、5月11日から計画されている学校の再開や、公園などの公共スペースの解放の目途がまだ立っていない状態です。
メトロは75%の運行
パリ交通公団RATPによるメトロの運行については、以下のようになります。
〇運行時間は6時から22時まで。
〇メトロ構内立ち入りの人数制限の実施。これにより、メトロの駅に入るため行列が予想されます。
〇マスク着用は義務。付けていない場合は135ユーロの罰金が科されます。
〇運転は通常より25%減少します。1号線と14号線は自動運転のため100%運行されます。
〇基本的には規制緩和後もテレワークが推奨されています。
ラッシュアワー(6時半から9時半、16時から19時)は、通勤、不要不急の外出に限られます。通勤する人は雇用主の発行した証明書を携帯する義務があります。不携帯の場合は135ユーロの罰金。
〇5月11日以降も、以下の駅が閉鎖されたままになります。
• 2号線 : Courcelles, Victor Hugo, Place de Clichy, Stalingrad, Villiers et Barbès-Rochechouart,
• 3号線 : Bourse, Malesherbes, Havre Caumartin, Villiers, Opéra et République,
• 4号線 : Alésia, Saint-Placide, Barbès-Rochechouart, Raspail et Strasbourg-Saint Denis,
• 5号線 : Bréguet-Sabin, Campo-Formio, Hoche, Jacques Bonsergent, Laumière, Quai de la Rapée, République et Stalingrad,
• 6号線 : Raspail et La Motte Picquet-Grenelle,
• 7号線 : Cadet, Pierre et Marie Curie, Porte de Choisy, Tolbiac, Opéra, Danube, Buttes Chaumont et Stalingrad,
• 8号線 : Félix Faure, Filles du Calvaire, Ledru Rollin, Liberté, Lourmel, Maisons-Alfort Stade, Michel Bizot, Strasbourg-Saint Denis, Grands Boulevards, Opéra, Porte de Charenton, La Motte Picquet-Grenelle et République,
• 9号線 : Alma Marceau, Charonne, Exelmans, Jasmin, Maraîchers, Havre-Caumartin, Strasbourg-Saint Denis, République et Grands Boulevards,
• 10号線 : Cardinal Lemoine, Charles Michels, Chardon-Lagache, Ségur, Vaneau et La Motte Picquet-Grenelle,
• 11号線 : Jourdain, Rambuteau et République,
• 12号線 : Abbesses, Assemblée Nationale, Jules Joffrin, Marx Dormoy, Notre-Dame de Lorette, Rennes, Rue du Bac et Volontaires,
• 13号線 : Brochant, Liège, Pernety et Place de Clichy
パリ市の交通対策
自転車専用レーンを拡大
大気汚染問題が深刻なパリでは、公共交通機関を避けるために車両通行が増大することに懸念が抱かれています。そのため、イダルゴ市長は5月5日に見解を示し、パリ市内の車両通行の規制、また、メトロなど交通機関の混雑を緩和するため、自転車レーンを拡大することを発表しました。
市内で働く人には市外から車で通う人も少なくありません。そのため、パリ市内に入る車を減らすため、パリ市周辺で駐車できるエリアを拡大します。公共交通機関のパスを持っている人は無料で利用できます。
パリ市内には自転車専用レーンが沢山ありますが、これをさらに増やし、パリ市外とも連結させるようにします。自転車の利用者を増やし、メトロの混雑を軽減することが目的です。
パリの中心部を横断するリヴォリ通りは車両通行止めとなります。
カフェやレストランの再開は6月を目途に検討中。
残念ながらパリ市はまだ商業施設を完全に再オープンすることができません。洋服、靴などの服飾関係のお店は営業が可能になりますが、 40 000m²以上の敷地をもつショッピングセンターは閉鎖のままとなります。
閉鎖したままとなる施設としては、カフェやレストラン(テイクアウトや宅配は可能になる予定)などの飲食店、遊園地・映画館・クラブ等の娯楽施設、公園・図書館、音楽院など公共施設、パリ市の経営する文化施設などです。これには美術館も含まれます。
美術館に関してですが、理想的には6月中旬の再オープンが期待されています。しかし、これも状況を見ながらの判断が下されますので、あくまでも指針となります。
外出制限措置のために開催予定がキャンセルとなったエクスポに関しては、幾つかの美術館では延長開催が予定されています。
パリの美術館は公共施設ですので、政府の方針によって市の決断が下されることになります。現在のところは具体的な日程は明らかにされていません。いずれにせよ、こちらも非常に厳しい入場制限が見込まれます。
医療関係者に感謝を!
規制緩和と言っても、赤ゾーンに入っているイル・ド・フランス圏、そして首都のパリでは厳しい対策が続きます。人口が多く面積が狭いパリは、フランスの中でもおそらく一番最後に通常の生活に戻るものと見込まれます。
外出制限の他、マスク着用、社会的距離の維持など、厳しい生活を強いられている毎日ももう2か月。ビズや握手の禁止、公園の封鎖など、フランス人にとって大事なものが禁止されているのは精神面にもかなり影響を与えられていると思われますが、パリジャン一人一人の努力によって、確実に事態が改善されていくことを願わずにはいられません。
以上、パリナビでした。