フランスが世界に誇る超特急「TGV」で旅をしてみました。
TGVには2階建てもあります
こんにちは、パリナビです。今日は、フランスが誇る超特急列車「TGV」の旅についてご紹介しましょう。TGVの最高時速は300キロを超え、日本の新幹線と並ぶ世界有数の速さで走ります。そんなTGVの乗車ルポをお伝えしましょう!
パリの出発駅は4カ所
いかにも速そうに見えませんか?
パリには国鉄(SNCF)のターミナル駅のうち、TGVが発着する駅は、パリ北駅と東駅、リヨン駅、モンパルナス駅の4カ所です。
・パリ北駅発着の主な行き先リール、カレー、ブリュッセル、アムステルダム、ケルン、ロンドン
・パリ東駅発着の主な行き先ストラスブール、ナンシー、バーゼル、ルクセンブルク、シュトゥットガルト、チューリッヒ
・リヨン駅の主な行き先ディジョン、リヨン、マルセイユ、モンペリエ、ジュネーヴ、ローザンヌ、ベルン、ミラノ
・モンパルナス駅発着の主な行き先ル・マン、レンヌ、ナント、トゥール、ボルドー
外国にも乗り入れるTGV
車内に貼ってあるTGV路線図
上記の地名をみて「おやっ?フランスじゃない地名がある」と思った人も多いことでしょう。TGVは、新幹線のように専用の高速鉄道線を走る区間が多いのですが、在来線への乗り入れもできるし、外国の高速鉄道線を走ることもあります。外国に乗り入れる場合は、TGVという名でそのまま走るケースもありますが、パリ~ブリュッセル~アムステルダム/ケルン間を走るものは「タリス(Thalys)」、海峡トンネル「ユーロトンネル」を通ってロンドンまで行くものは「ユーロスター(Eurostar)」と呼ばれます。またスイス行きには「TGVリリア」という名がついています。ちなみにイギリスに行く場合はパリ北駅で英仏両国の出入国検査が行われますが、他の欧州大陸内の国に行く場合は「シェンゲン協定」というルールにより、パスポートチェックは一切行われません。
オランダやベルギーに乗り入れるタリス
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ロンドン行きのユーロスター
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TGVの切符を買うには
切符はネットで買うと安いです!
TGVに乗るのに、当日駅に行って「どこどこまで大人1枚!」と購入することもできます。でも、もし利用日まで時間があるなら、あらかじめネットで購入しておいた方が便利で安く切符が手に入るかもしれません。
(居住国を「日本」と選ぶと、日本の代理店サイトに飛びます)
なお、格安の前売り料金は、変更や払い戻しに制限があるので注意が必要です。
格安チケットはIDTGVのサイトで!
また、一部の区間では、IDTGVという名前で格安サービスが行われている場合があります。これはSNCFが走らせている普通のTGVに、IDTGVが別の編成を併結して営業を行っているもので、速度や車両のレベルなどは同じです。
ユーレイルパスなど欧州の鉄道周遊券でTGVを利用する場合、事前に追加料金を払わないと乗れません。パス所有者用の割引料金もあるので、購入時には駅の窓口でパスを見せるようにしましょう。なお、パス利用者向けの指定券はネットでは買えません(あるいは、チケットそのものをネット事前割引で買った方が安くて確実かもしれません)。
2階建てTGVに乗ってみました
2階建て車両に乗り込みます!
それでは実際にIDTGVで買った格安チケットで、2階建てTGVのファーストクラスに乗ってみましょう。意外にもSNCFの2等の販売価格とそれほど値段が変わらなかったです。
まず、乗車ホームに行ってみると、IDTGVの運行車両への乗客専用に特別な改札口が設けられています。ここで、購入時にプリントした切符のチェックを受けます。その後所定の座席に向かいます。
ホーム場にIDTGV用の改札が設けられていました
号車番号が先頭車両から逆順で付いていたり、車両の1,2階で座席番号がどう並んでいるのかよくわからなかったりと戸惑うことしきりだったのですが、周りの人に様子を尋ねてなんとか乗り込みます。
2階から下へ下りる階段
2階建て車両がどんな構造をしているのか気になるナビ。隣りの車両とどこでどうつながっているのかなと思ったら、基本的には2階部分が全部つながっていて、1階部分へは階段を使って下へ下りるような仕組みになっています(ホームとの出入り口のドアは階段の途中にあります)。
ただ困ったことに、ナビが指定した席は進行方向と逆。日本の新幹線は方向に合わせて回転できる機能を持っているのですが、TGVはまったくの固定式。運が悪いと逆向きのまま300キロの走行に耐えねばなりません。
シートの番号を見て、席を探します
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駅によっては号車が分かる電光掲示も
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ナビは1等車の下の階に乗りました
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乗客に「ご挨拶」に来た車掌さん
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意外とおいしいバーのスナック
バーは充実のメニュー!
発車間際に駅へと飛び込んだナビ。飲食物をなにも持っておらず、心細かったのですが、IDTGVの改札係員に「車内で何か買えますか?」と尋ねてみたところ、「十分に食事も積んでますよ、もうバーもオープンしてますし」と心強い返事。自分の席を確認するやいなや、バーへと走ります。バーは車両の2階建て部分をまるまる使っていてなかなかの広さ。売店になっているバーカウンターには発車前から何人もの乗客が並んでいました。
バーエリアからの眺めも格別ですよ!
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さまざまなメニューが用意されています
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ナビは席に持って帰って食べました!
食事はサンドウィッチやラップなど3種類、コーヒーや各種飲み物も選べます。たとえ列車の中でもさすがフランス、おいしいバケットサンドやカフェオレが楽しめます。でも、乗客の中にはチーズとハムと挟んだホットサンド「クロックムッシュ」をバーで作ってもらった人もいて、ナビはちょっとショック。
300キロは確かに速い!
車窓の風景はうまく撮れません……
TGVは高速鉄道線を300キロ近いスピードで走っています。左右に揺れたり、小刻みに振動したり、騒音が大きかったりといった問題を感じないのが意外です。速度感はどんなものかとデッキに出て、ドアの窓越しに沿線風景を撮ってみようと思いますが、とても速過ぎて何か撮ろうにもうまくいきません。300キロで走っているときにバーで立ってコーヒーを飲もうとすると、どこかに飛ばされそうになって、なかなか怖いです。
車内にある気の利いた設備
スーツケースを置ける大きなスペースもありますよ
TGVは飛行機で長距離移動する旅客をひっぱろうと努力しているだけあって、細かい「仕掛け」があちこちにあります。海外旅行客にうれしいのは、トランクを置くスペースがふんだんに用意されていることでしょうか? たまに日本に帰って新幹線に乗るとき、荷物を置く場所に困るナビ。TGVに乗るたびに、これなら大きい荷物があっても大丈夫かな、と思います。その他、号車によって携帯電話を使っていい車両(おしゃべりをしても良い?)とダメな車両とに分かれています。また、区間と車両によっては、無線LAN(wifi)の設備も取り付けられているそうですよ。
TGVでパリ・リヨン駅に着いた乗客たち
意外と広いフランスの国土を走り回るTGV。国内の移動に飛行機の方が便利かも?と思っても、試しにTGVの価格やスケジュールもチェックしてみては。ちなみに、日本からの国際線が発着するシャルル・ド・ゴール空港の中にもTGVの駅があります。また、パリからベルギー、オランダ、スイスへの移動は意外にもTGVのほうが速くて便利かもしれません。「外国の列車は切符を買うのが面倒」と敬遠されがちですが、最近ではネット上で英語や日本語でもチケットが買えるTGV。次回の旅に是非利用を検討してみてくださいね。以上、パリナビでした。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2011-11-15