震災後のパリ

3/11に発生した東日本大震災から一カ月以上が過ぎました。パリの人たちは震災についてどういう受け止め方をしているのでしょうか?

こんにちは。パリナビです。まず、東日本大震災により、被災されました方々とそのご家族・ご関係者様に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。東日本大震災が発生した直後は、フランスでも連日トップニュースで日本の被災地の様子、原発事故の様子などが報道されていました。あれから一カ月以上経った今、パリではどんな様子なのでしょうか。メディアでの取り扱いや、人々の様子、チャリティイベントについてご報告します。

フランスのメディア/フランス人の反応

福島で原発事故が発生した後は、フランスでは主に原発のニュースがたくさん報道されていました。そして、フランスは、日本在住の自国民に避難勧告を出したため、多くのフランス人が日本から出国しました。また、フランスも原発大国なので、日本の原発事故を目のあたりにして、フランス国内で原発反対デモも勃発しました。
それから、エール・フランス航空は、パリ・東京間の直行便を、ソウル経由に変更しました。1)ソウルでいったん東日本の様子を見る。 2)成田空港の貴重な航空機燃料を節約できる。 3)ソウルで、パリから搭乗した客室乗務員を全員降ろし、他の客室乗務員と交代させ、東京での長時間待ちをさせない。というのが主な目的だったようです。(その後、2011年4月8日から直行便を再開しました)
福島の原発事故や被災地について詳細が書かれた記事 福島の原発事故や被災地について詳細が書かれた記事

福島の原発事故や被災地について詳細が書かれた記事

さて、周囲のフランス人の反応は? 友達や知り合い、大家さんなど、あらゆる人が「日本の家族や友達は、大丈夫か?」、「日本のために祈っています」などというメッセージをくれました。また、外出時に知らない人から声をかけられたことも。ナビがカフェに行ったら、そこの従業員のお姉さんに「あなたたち日本人? まだたくさんの人が行方不明なの?」と、日本の様子を聞いてくれました。スタンドでクレープを買った日本人の友達は、クレープを焼いていた人から、「日本、がんばって。応援してるから!」と言われたそうです。そういう心配・励ましの声は、どれも日本人の心に響いたと思います。

それから、「パリに避難したい被災者がいたら、うちには2人なら受け入れ可能」、「うちは、一家族受け入れられる!」などという会話も耳にしました。心身ともに疲労している日本の被災者の方たちが実際それを望むかは疑問ですが、フランス人たちの「気持ち」が嬉しかったです。

しかし、時間が経つにつれ、日本の震災関連のニュースが減ってきたせいでしょうか。最近では、知らない人からそういうことを言われることもありません。なので、「今度パリに旅行するんですけど、放射線関連で日本人観光客は嫌がられないでしょうか…?」という日本人の心配の声を耳にしたりするのですが、そういった心配はしなくても良いと思います。そういう話は聞いたことがありません。それより、サマータイムが始まり良い季節が到来したので、機嫌が良いフランス人の方が多いと思います。

パリのチャリティイベント

メトロの壁にはられていたポスター

メトロの壁にはられていたポスター

さて、世界中でチャリティイベントが開催されていますが、パリでもたくさん開催されました。今後も、たくさんのチャリティイベントが予定されています。ファッション業界、音楽業界、食品業界など、それぞれの業界が動いて、義援金を集めています。

○Cité Internationale Universitaire de Paris(パリ国際学生都市)
Maison du Japon(日本館)では、複数回に渡ってチャリティイベントが開催されました。 コンサートの他、みんなで折り紙で鶴を折ったり、着物の着付け教室が行われたりして、同時に日本文化にも慣れ親しんでもらおうという趣旨のもと、行われたイベントです。
募金する学生

募金する学生

チャリティコンサートの様子

チャリティコンサートの様子


○Labo Love Japon
お菓子業界では、フランス在住のパティシエさんたちが日持ちするマドレーヌ、パウンドケーキ、クッキー、マカロンなどの焼き菓子を作り、売上金を寄付するという"Labo Love Japon"(ラボ・ラブ・ジャポン)が発足されました。お菓子には、パティシエさんたちの思いが込められています。
どの焼き菓子も美味しかったです どの焼き菓子も美味しかったです どの焼き菓子も美味しかったです

どの焼き菓子も美味しかったです


○チャリティコンサート
パリで、大小合わせて多数のチャリティコンサートが開催されました。また、今後も開催される予定です。ナビは、2011年4月11日に行われた"Tsunami et demain..."(津波と明日…)というコンサートに行ってきました。
シアター前では、フランス人による<BR>
和太鼓のパフォーマンス

シアター前では、フランス人による
和太鼓のパフォーマンス

大勢の人が来ていました

大勢の人が来ていました

コンサートには、かなり大御所の人たちが参加してくださいました。日本でも有名なSalvatore Adamo(サルヴァトーレ・アダモ)さんが、"Tombe la neige"(雪が降る)を日本語で歌ってくださいました。「あーなたーはー、来ない-」と、完璧な発音で歌っていらっしゃって、驚きました! 30回以上の来日公演を行っている親日家だそう。
それから、日本人アーティストの三宅純さんが英語でスピーチ。「私たちは、自然災害を止めることは出来ないけれど、原発を止めることは出来る」とおっしゃり、観客席からは、賛同の拍手がわき上がりました。(ちなみに観客は、日本人よりフランス人の方が多かったです)
三宅 純さん

三宅 純さん

サルヴァトーレ・アダモさん

サルヴァトーレ・アダモさん

それから、フランスで人気のZAZさん。2010年5月に発売されたファーストアルバムが、フランス国内のチャートでトップになりました。彼女の歌声を生で聴くのは初めてでしたが、ジャジーでハスキーな、すごく良い声でした。ステージを跳び回りながら歌う、パワフルな女性でした!
そして、たくさんの外国人アーティストが来日をキャンセルする中、逆に緊急来日して渋谷のチャリティコンサートに参加してくださったJane Birkin(ジェーン・バーキン)さん。"Tsunami et demain..."にも参加してくださいました。日本に行くことを家族からは反対されたそうです…。バーキンさんのスピーチも心に響きました。バーキンさんは特に災害に遭った子供のことを思って、心を痛めておられました。
ZAZさん

ZAZさん

ジェーン・バーキンさん

ジェーン・バーキンさん

最後に、La Caravane Passe(ラ・キャラバン・パス)というパワフルなグループが登場。東ヨーロッパとスペインの音楽のエスプリと、フランスのロックのエネルギーをミックスさせるというのが彼らのコンセプト。彼らがステージに出てきた途端、ナビもすぐに、彼らの究極のエンターテイメントの世界に引きずり込まれました。曲のサビの部分など、一度聴いたら忘れないくらいインパクトが強かったです。
そして、全アーティストが歌い終わった後、観客も一緒になってみんなで、手元のパンフレットに印字された歌詞を見ながら、日本の歌「ふるさと」を歌いました。(日本人なら多分誰でも知っている、「うーさーぎー追ーいし、かーのー山ー」という歌です。フランス人は歌えず、日本人が歌うのを聴いていました)

このコンサートは、お父様がフランス人、お母様が日本人というマルチミュージシャンMaïa Barouh(マイア・バルー)さんなどによって考案されました。マイアさんも、たくさんの曲を披露してくださいました。
パワフルなラ・キャラバン・パス

パワフルなラ・キャラバン・パス

最後は全アーティストがステージへ

最後は全アーティストがステージへ

シアターのロビーでは、「国境なき子どもたち」、「日本赤十字社」への募金ブースが設けられていました。
「国境なき子どもたち」、「日本赤十字社」へ募金する人たち 「国境なき子どもたち」、「日本赤十字社」へ募金する人たち 「国境なき子どもたち」、「日本赤十字社」へ募金する人たち

「国境なき子どもたち」、「日本赤十字社」へ募金する人たち

2011年4月現在、日本の震災関連のニュースは減ったものの、チャリティイベントは、まだたくさん行われる予定です。海外在住の日本人も、日本在住の日本人も、復興に向けて前を向いて歩いていきましょう。世界中から義援金と励ましの言葉が集まっていることを胸に…。ナビもささやかながら自分が出来ることを続けていきたいと思います。以上、パリナビでした。
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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2011-04-22

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