建築の都パリの楽しみ方!~パリの近代建築編

建築の都パリ特集第1回!パリの近代建築にスポットを当てて紹介します!

パリ郊外にあるサヴォア邸。

パリ郊外にあるサヴォア邸。

こんにちは パリナビです! 花の都パリ、芸術の都パリ、食の都パリ・・・と言い出したらきりがない「○○の都パリ」!そのうちの1つ、「建築の都パリ」を紹介しましょう。中でも今回はパリの近代建築にスポットを当てて紹介したいと思っています。あまり知られていませんが、昔の石造りの建物にかわり、現在私たちが普通に見る鉄筋コンクリートの建物が建設されるようになったのは1800年代後期から1900年代初期のこと。パリにはその時代の鉄筋コンクリートの建物がいくつか残っています。建物の歴史を辿るうえでパリには貴重な資料がいっぱい!パリの違った楽しみ方をナビが提案出来ればと思います!  

近代建築とは?

パリの風景は、1800年代後期にパリを管轄するセーヌ県知事に就任したジョルジュ・オスマンと、ナポレオン3世により行われた「パリ大改造計画」により一変します。 

・入り組んだ細い道を壊し、大通り(boulverd)を整備する
・ブローニュの森やヴァンセンヌの森など市民が訪れることが出来る公園を整備する
・鉄道を整備する(メトロの開通は少しあとの1900年)
・下水道を整備する
・パリ市を拡張し現在の20区制にする 

計画の代表的なものを上に挙げましたが、この計画によりパリは現在の姿となりました。大通りが出来たことによって、プランタンやギャラリーラファイエットといった大型百貨店もこの時期に開店。本当にパリの歴史が動いた大きな出来事だったんですね・・・
凱旋門から放射状に伸びる大通りもこの計画により整備されました。

凱旋門から放射状に伸びる大通りもこの計画により整備されました。

パリの建築の歴史も、このパリ大改造計画により大きく発展しました。パリに以前からある頑丈な石造りの建物は地震もないパリでは建て直す必要がありませんでしたが、この計画により建て直す機会を与えられ、建築素材に石以外の鉄やガラス、そして鉄筋コンクリートが使用されるようになり、建築革命が起きました。これらは後に「近代建築」と呼ばれるようになります。 

近代建築の特徴

鉄筋コンクリートやガラスなどを使うことにより、以前の石造りでは不可能であったデザインが可能になり建築の歴史は大きく進みました。「コンクリートの父」と呼ばれるオーギュスト・ペレ(Auguste Perret)は、鉄筋コンクリートを使った初期の作品である「フランクリン街のアパートメント」をデザインし、「近代建築の5大原則」を提唱した巨匠ル・コルビジエなどに影響を与えていきます。この時代より建築物は機能性、合理性を追求されるようになります。 
フランクリン街のアパートメント

フランクリン街のアパートメント

鉄筋コンクリートが使用され、装飾がなされています。

鉄筋コンクリートが使用され、装飾がなされています。

ル・コルビジエ(Le Corbusier)

ル・コルビジエ。パリの近代築を語るうえで彼の名前は絶対に外せないでしょう!
「住宅は生活のための機械である」 
「近代建築の5大原則」
・ピロティ … 支柱建物を持ち上げることで地上階にスペースができる。
・屋上庭園 …. 上に庭園を造る。
・自由な平面 …. 鉄筋コンクリートにより建物内の設計が自由になる。
・水平に続く窓 … ガラスを多用することにより、建物内が明るくなる。
・自由な立面(ファサード)… 建物を支える支柱が必要ではなくなったので外観を自由に設計できる。
パリ郊外にあるサヴォア邸。ピロティが特徴的ですね。

パリ郊外にあるサヴォア邸。ピロティが特徴的ですね。

屋上庭園も当時は斬新だったのですよ。

屋上庭園も当時は斬新だったのですよ。

水平に続く窓

水平に続く窓

自由な平面、立面。鉄筋コンクリート技術で自由な設計が出来るようになりました。

自由な平面、立面。鉄筋コンクリート技術で自由な設計が出来るようになりました。

上のような数々の名言を残したコルビジエは、スイス生まれ。パリに来た後、オーギュト・ペレの事務所で働くなど経験を積み、「近代建築の巨匠」と呼ばれるようになります。パリで主に仕事をしていたこともあり、この5大原則をみることが出来るサヴォワ邸を筆頭に、パリ周辺では彼の作品をたくさん見ることが出来ます。実際に彼が住んでいたアパートメントも、土曜日限定ですが訪問することができるんですよ。パリにはコルビジエ財団(ラロッシュ邸)もあるので、ここで確認すればすべての情報が入手出来ます。
コルビジエ財団(ラロッシュ邸)1

コルビジエ財団(ラロッシュ邸)1

コルビジエ財団(ラロッシュ邸)2

コルビジエ財団(ラロッシュ邸)2

コルビジエのアパートメント

コルビジエのアパートメント

本当にファンにはたまりません...

本当にファンにはたまりません...

その他、パリの南端にある学生寮群、パリ国際学生都市の中にもスイス館、ブラジル館など彼の作品を見ることができます。もともと寮として設計されたから、ここには現在でも学生寮としてしっかり機能しています。この建物で勉強できるなんて学生の皆さん、うらやましいですねぇ・・・主に地上階は見学可能です。
パリ国際学生都市内にあるスイス館もコルビジエ作品です。

パリ国際学生都市内にあるスイス館もコルビジエ作品です。

スイス館2 中央にあるのはLC2と呼ばれるソファ。彼は建築物以外にもたくさんのものをデザインしました。

スイス館2 中央にあるのはLC2と呼ばれるソファ。彼は建築物以外にもたくさんのものをデザインしました。

スイス館3 当時のまま残るこの部屋は見学可能です。

スイス館3 当時のまま残るこの部屋は見学可能です。

ブラジル館1

ブラジル館1

ブラジル館2 低い天井ですが奥行きを感じます。

ブラジル館2 低い天井ですが奥行きを感じます。

ブラジル館3

ブラジル館3

 「コンクリートの建物なんか今はどこでもあるじゃない?」と思われる方も多いかもしれませんが、さまざまな年代に建てられた建物が残るパリで、その歴史と違いを感じながら見る「近代建築」は、また違った印象を与えてくれるかもしれません。今回は代表的なものを紹介しましたが、パリは近代建築運動の中心地の1つだったこともあり、まだまだたくさんあります。まさにパリ自体が建築の博物館!ただ1つだけ、現在でも人が住んでいる所が多いので、見学の際のマナーには十分ご注意くださいね。以上、パリナビでした!

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2011-05-27

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