ツール・ド・フランスを楽しもう!

夏の最大のスポーツイベント、自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」の楽しみ方を紹介します!

スタート地点にはこんなゲートが

スタート地点にはこんなゲートが

こんにちは、パリナビです。今回は自転車ロードレース「ツール・ド・フランス(Tour de France)」についてご紹介します。フランスだけでなく世界中のサイクルファンが注目する「ツール」。どんな競技なのか、どんな楽しみ方があるのかみていきましょう。

そもそもツールとは?

「ペロトン(集団)」がやってきました!

「ペロトン(集団)」がやってきました!

「ツール」は、毎年7月上旬から23日間かけて行われる自転車ロードレース。期間中はほぼ毎日、約200人の選手が決められたルートを走ります。ちなみに、自転車ロードレースは1日だけで終わる「ワンディレース」と、「ツール」のように何日も走って総合時間を争う大会とがあります。この大会が始まってからすでに100年余り。各国のロードランナーたちがしのぎを削るこの競技は、「最大・最高のロードレース」を意味する3つの『グランツール』のひとつです。
こんなグッズの販売も行われます

こんなグッズの販売も行われます

グランツールの中で5月のイタリア「ジロ・デ・イタリア」、9月のスペイン「ブエル・タ・エスパーニャ」と比べても、出場選手のレベルが相対的に高いといわれます。なので「世界最高峰の自転車ロードレース」という枕言葉が付くのもうなづけますよね。
1日ごとの競技ルートは「ステージ(フランス語ではetape)」と呼ばれ、1日あたり200キロ前後を走ります。例年1チーム9人の20チームが参加します。ちなみに、2009年と2010年は日本人選手も参加したのですが、2011年はメンバーから外れてしまいました。
こんな厳しい山道を登ってきます

こんな厳しい山道を登ってきます

各ステージは、「平坦ステージ」だけでなく、アルプスやピレネー山脈の細くてきつい山道を上る「山岳ステージ」など、さまざまな厳しいコースに挑むことになります。また、1人づつで走ってスピードを競う「個人タイムトライアル」、1チームごとに走って競う「チームタイムトライアル」という競技も期間中1〜2度行われます。
走るルート(ステージが作られる場所)は毎年異なりますが、かならず最終日はパリのシャンゼリゼ通りのゴールで幕を閉じます。

2011年の全ルート概要

2011年のツールは、7月2日に開幕。干潮時にだけ海の中から姿を現す全長4.5キロのパッサージュ・デュ・ゴワでのパレードに始まる初日を終えた後、平坦ステージをしばらくこなします。
第12ステージ(7/14)からピレネー山脈の山岳ステージへと突入。
第15ステージ(7/17)では一度平坦となるものの、第17~19ステージ(7/19-22)はアルプス山脈の山岳ステージへと入ります。
第20ステージ(7/23)では、個人タイムトライアルがグルノーブルの市街地で行われ、総合優勝者がほぼ確定。
そして第21ステージとなる最終日(7/24)はパリの目抜き通り・シャンゼリゼでフィナーレを迎えます。
主催者発表のコースとその動画は以下のURLにあります。
個人TTを走る日本人の新城選手(2010年大会で)

個人TTを走る日本人の新城選手(2010年大会で)

ツール・ド・フランスを楽しもう! ツールドフランスシャンゼリゼ通り

見どころはこんなポイント

スタート前の選手たちはサインにも応じます

スタート前の選手たちはサインにも応じます

期間中は毎日、選手たちは雨でも風でも暑くても寒くても自転車で走ります。夏まっ盛り、バカンスにも最適なシーズンに大会が行われます。そのため「ルールなんてわからなくても、フランスの美しい風景を中継でみているだけでも楽しい」という人さえもいます。でも、「ツール」は一応スポーツですから、もうちょっと具体的に説明しますね。
平坦ステージのゴール前でのデッドヒート

平坦ステージのゴール前でのデッドヒート

「平坦ステージ」では、途中何度か丘を上る程度と、ロードランナーたちにはそれほど大きな負担にはなりません。ステージの9割方の距離を大集団で走り、勝負が決まるのは、ゴール前数百メートルからのスプリント争いです。(わざわざ200キロあまりも走ってきて、勝負が数秒の争いで決まるのはどうして?とはナビも思いますが…)
標高2,400メートルの山頂にさしかかりました

標高2,400メートルの山頂にさしかかりました

一方、平均勾配が8~9%という急な坂道を上る「山岳ステージ」は、例年、アルプスとピレネーの両山脈の山道を使って設定されます。コースの最高地点が標高2,000メートルを超えることもしばしば。テレビを通してみても、おびただしい数の観客が沿道へと応援に訪れ、中には選手たちと並んで走り出すこともしばしばです。

観戦に行くにはどうしたら良い?

選手たちが来るまではとりあえず昼寝?

選手たちが来るまではとりあえず昼寝?

例年、ツールの競技ルートは前年の10月ごろ決められます。近年では、初日のレースがフランス国外の街からスタートすることも多い(2007年はロンドン、2009年はモナコ、2010年はオランダのロッテルダムでした)ほか、途中のコースが近隣国のイタリアやスイス、スペインに飛び出して設定されることもあります。ナビの経験では、地方の中小都市がスタート/ゴール地点となると、その街のホテルが半年以上前から満員という事態もしばしばです。さらにたいへんなのは、山岳ステージの頂上付近での観戦です。本来、夏には使われないスキーリゾートがゴールになったり、トンネルの完成により使われなくなった旧国道の峠などがコースに指定され、「そこに行く公共交通機関が全くない」場合がほとんど。そういった場所へは、レンタカーを借りて現地に向かうか、さもなくば選手と同じように「自転車で坂道を数時間かけて上る(意外とそういう人も多いのです!)」しかありません。

順位はこう決めます!

表彰に使われる舞台はこんな感じ

表彰に使われる舞台はこんな感じ

自転車ロードレースの順位決定について、陸上のマラソンと同様に「毎レースの1位を争うのかなあ?」と考えられがち。たしかにそういう表彰もあるのですが、それ以外にも順位の決め方にはロードレースならではの変わった特徴があります。
表彰される部門には大きく分けて5つあります。

1.ステージ優勝
その日のステージで最初にゴールした選手が優勝となります。なお、ステージで大きな働きをした選手に敢闘賞も贈られます。
マイヨ・ジョーヌはこんな黄色のシャツです

マイヨ・ジョーヌはこんな黄色のシャツです

2.総合優勝
各ステージを走った結果、合計時間が最も少ない選手に贈られます。最終日にはもちろん表彰を受けますが、各ステージが終わった段階で、それまでの累計時間を計算。最もタイムが短い選手は「(○○ステージ終了時点の)総合1位」というかたちで毎ステージ後に表彰されます。このとき授与されるのが「マイヨ・ジョーヌ(=黄色いジャージ)」です。ロードランナーの間では、たとえ1日でも「マイヨ・ジョーヌ」が着られることがたいへんな名誉だといいます。
「マイヨ・ヴェール」の表彰

「マイヨ・ヴェール」の表彰

3.ポイント賞
各ステージには、ルート途中に「スプリントポイント」という中間ゴールのような場所と、当日のゴールとを上位で通過すると得点がつきます。これらを総計した順位を競うのが「ポイント賞」です。これもステージごとに集計され、表彰を受けます。ポイント賞では、「マイヨ・ヴェール(=緑のジャージ)」が授与されます。

4.山岳賞
この賞は、峠を上り切った山頂の通過順位によるポイントだけで順位が決められます。峠までの登り坂の長さや、勾配の角度などにより、「4~1級と超級」の5つのカテゴリーがあり、それぞれ加算される点数も違います。ステージごとに集計され、表彰されます。山岳賞では、「マイヨ・ア・ポア(=赤い水玉模様のジャージ、マイヨ・グランペールとも)」が授与されます。
「マイヨ・ブラン」の表彰

「マイヨ・ブラン」の表彰

5.新人賞
採点方法は「総合優勝」と同じですが、審査対象が25歳以下の選手に限ります。「マイヨ・ブラン(=白いジャージ)」が贈られます。
これは「ゴールまであと1キロ」の表示

これは「ゴールまであと1キロ」の表示

「ツール」で最も重要なのは、各チームの「エース」に総合優勝をもたらすため、チームの他の選手(「アシスト」といいます)はさまざまな動きをすること。だから、選手たちはただやみくもに1位を狙って走ることはしません。エースやアシストには戦略上の役割があって、エースを勝たせるためにアシストの選手はとにかく尽くします。そのほか、マイヨ・ジョーヌを着ている総合トップの選手がパンクなどでトラブルに巻き込まれると、「ペロトン」と呼ばれる集団はゆっくり走って復帰を待ちます。そんな「紳士協定」があることも、ツールを面白くさせるひとつの理由なのかもしれません。
この車が来たら選手の通過が終わり。<br>中継には絶対映りません(笑)

この車が来たら選手の通過が終わり。
中継には絶対映りません(笑)

日本ではあまり親しみのない自転車ロードレースですが、夏のフランスではこれが最大の行事のひとつにもなっています。旅先でお祭り気分を味わいに、ぜひ一度観戦してみてくださいね。以上、パリナビでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2011-07-21

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