パリで毎年開催されている世界最大のチョコレートの祭典。第17回目の今年は「バロック」がテーマ。
こんにちは、パリナビです。今年もこの季節がやってきました!1995年よりパリで毎年開催されている世界最大のショコラの祭典「サロン・デュ・ショコラ(Salon du chocolat)」。17回目を迎える今年は10月20日から24日までの5日間、パリ15区の見本市会場ポルト・ド・ヴェルサイユで開催されました。来場者は約14万人、参加するショコラティエとパティシエは約400人、そのうち200人はフランス国外からやってくるという国際的なイベント。今回は「洗練」と「食いしんぼう」の象徴であるフランスの職業、「パティスリー」にスポットが当てられました。世界中にその名を知られるようになったパリ・ブレスト、エクレア、ミルフィーユなどフランスの伝統的なパティスリー。パティシエたちによるデモンンストレーションに、たくさんのお客さんが集まりました。
パリのサロン・デュ・ショコラで欠かせないのがチョコレートのファッション・ショー。スタイリスト、デザイナー、ショコラティエが協力してひとつの作品を創ります。テーマは「こっけい、食いしん坊&バロック」。ルリジューズ、マカロンなどパティスリーを思わせるデザインの洋服を身につけたモデルさんたちの登場に会場が盛り上がります。モデルはテレビ番組の司会者、女優さんだったりしたそうですが、ナビには誰だかさっぱり分かりませんでした。
主催者のシルヴィ・ドゥースさんの挨拶から始まりました。
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ファッション・ショーの客席は満員!
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ブラック・スワン(黒い白鳥)はサダハル・アオキのショコラです。
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ショーの最後には、モデル、デザイナー、ショコラティエが一緒にステージへ上がりました。
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出店数は何と160!
出店数はなんと160!どのお店から行こうか迷ってしまいます。日本ではもうおなじみのアンリ・ルルー、東京のサロン・デュ・ショコラに出店したフランク・ケストナー、アルノー・ラレールから、小さなお店までさまざま。
日本にも店舗がある「アンリ・ルルー(HENRI LE ROUX)」
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スペシャリテのキャラメルに、抹茶&柚子味が加わりました。
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「アルノー・ラレール(Arnaud Larher)」。マカロンの形をしたキャラメルです。
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パティスリーも大人気。
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パリ15区にある「ムッシュウ・ショコラ( Monsieur Chocolat)」。
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ジャン=マルク・リュエ(Jean-Marc RUE )さんと、折原恵子さんご夫妻のショコラはさまざまな賞を受賞しています。
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また今回は東日本大震災被災地支援のためのお菓子販売を行っている「ラボ・ラブ・ジャポン(Labo Love Japon)」が参加しました。売上金は全て義援金として日本赤十字社、または他の慈善団体に寄付されるそうです。
スタンド、スタッフのみなさんがかぶっている帽子のデザインは紙の彫刻家Schokoさんによるもの。
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Labo Love Japon のロゴが入ったクッキー。用意した数は3000枚以上!
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2011年最優秀ショコラティエの発表
サロン・デュ・ショコラではフランスのショコラ愛好家クラブ(le Club des Croqueurs de Chocolat)により、ショコラ賞(Les Awards du salon du chocolat)が発表されます。レストランガイドのミシュランは星の数で評価されますが、こちらはタブレット(板チョコレート)が目印。最優秀ショコラティエには5タブレットが与えられます。プロだけではなく一般のショコラ好きの人々も毎年誰が選ばれるのか、この発表を楽しみにしています。今年(2011年)はファブリス・ジロット(Fabrice Gillotte)さん、ヴァンサン・ゲルレ(Vincent Guerlais)さん、パスカル・ル・ガック(Pascal Le Gac)さんなど11名、また国際部門では日本の「エス・コヤマ」が最優秀賞に選ばれました。
ジャン・ポール・エヴァンさんなど、今年は11名が最優秀ショコラティエに選ばれました。
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今年も5つタブレットを受賞したピエール・エルメさん。
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ジャンポール・エヴァン(Jean-Paul Hevin)さんのスタンドは板チョコの形!
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今年も最優秀ショコラティエに選ばれたエヴァンさん。
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パリ郊外のサンジェルマン・アン・レーにお店を構えるパスカル・ル・ガックさん。
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塩キャラメル味のボンボンショコラは絶品!
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最優秀ショコラティエ、さらにパリ市からメダルを贈られた「サダハル・アオキ」
今まで4タブレットだった「サダハル・アオキ」の青木さん。いつ最優秀賞に選ばれてもおかしくない評価でしたが、今年はついに5タブレットを獲得しました。さらにこれまでの功績をたたえられ、パリ市からはメダルが贈られました。「最優秀ショコラティエの中に入りたいとずっと思っていました」とまだ実感がないと青木さん。「新しいものを創るというよりも、ショコラの質を重視しています。日々同じことをする中で、その質をあげるようにしてきました」「でも考えすぎると続きません。毎日こつこつ仕事をしてきました」という青木さんの受賞を祝いに、常連らしきフランス人マダムも駆けつけました。「サダ~。授賞式は終わっちゃったのね、サダ~。」とトロフィーをもらう瞬間を見逃してしまったことを悔やむマダム。フランス人からも愛される青木さんのショコラとその人柄。日本人として、ひとりのショコラティエとして、最優秀賞に選ばれました。
実感がまだない、という青木さん。これからの活躍にも注目が集まります。
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パリ市から贈られた賞状とメダル。素晴らしい快挙です。
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青木さんのスタンドのデコレーション。緑の苔と白色のコントラスト見事です。
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フランス人のお客さんも青木さんのショコラに興味しんしん。
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美しい層の抹茶のクロワッサン。
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昨年も好評だった「東京焼きマカロンショコラ」。抹茶風味の今川焼きの生地にショコラ味のマカロン。
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注目のショコラティエのひとり「ヴァンサン・ゲルレ(Vincent Guerlais)」
今年で4回連続最優秀ショコラティエに選ばれたのがヴァンサン・ゲルレ(Vincent Guerlais)さん。ロワール地方の最大都市ナントのショコラティエでありパティシエです。フランスで創設されたプロの菓子職人の協会であるルレ・デセールのメンバーでもあります。14歳で修行を始め、22歳のときに奥様とお店をオープン。今年で15年目を迎え、評判が広まりつつある注目のショコラティエなのです。そのゲルレさんの新作のひとつが『Le P it Beurre』。フランス人なら子どものときに一度は食べたことがあるビスケット『LU』。スーパーには必ずあるので、フランスみやげにされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?日本でいうなら森永のビスケットのような存在。その『LU』はナントで誕生しました。何ともリッチなお菓子に生まれ変わったゲルレさん流の『LU』。ピエモン産のヘーゼルナッツのクリームをビスケットでサンドし、さらにミルクチョコ、またはビターチョコレートでコーティング。さくさくのビスケットとチョコレートのパリっとした食感、ナッツの香ばしいクリームは、まさに食いしんぼうのためのお菓子です。
フランスで愛されるビスケット『LU』。職人が創ると何ともリッチなお菓子に変身します。
ゲルレさんのボンボンショコラは「はっきりとした味わい」を感じるように、厚さが薄いのが特徴。さらにコーティングも薄くして「口にしたときに何の味なのか分かるように」と、まず素材の香りを感じ、そのあとにカカオの風味が追いかけてきます。ライム、マンダリンなどの柑橘類のフレーバーは酸味が爽やかで、ショコラ愛好家クラブにも絶賛されました。
ショコラティエ仲間にもファンが多い、ゲルレさんのショコラ。
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どれも香りが際立っています。
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その名もフィンガーフード。ジャンドゥージャと塩バターキャラメルをチョコレートでコーティング。
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みんなで分け合って食べてほしい、という大きいサイズの板チョコレート。
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中央に見えるのがゲルレさん。同じプロのショコラティエ、パティシエから可愛がられる人柄はみんなの弟のよう。今後の予定はニューヨークのショコライベントへの参加。これからの活躍がますます楽しみです!
パティシエ、ショコラティエによるサイン会
料理本の専門店「リブレリー・グルマンド(Librairie Gourmande)」が出店。
フランスでは4年ほど前から料理本、特にパティスリーの本の売り上げが伸びています。プロ向けではなく、家庭で作れるような一般の人向け、子どもと一緒に楽しめる本が人気だとか。ジャン・ポール・エヴァンさんもショコラ・ショーの本を出版。サイン会には多くの人が訪れました。
サイン会には多くのファンが訪れました。
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エヴァンさんの最新本は「ショコラ・ショー」。
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シェフたちによるデモンストレーション
本だけではなく、テレビでも料理の分野は大人気。プロや一般の料理愛好家がその腕を競う番組は大成功を収めています。有名シェフたちによるデモンストレーションには熱心にメモをとるお客さんの姿も。この回は三ツ星レストラン、プレ・カトランのシェフ、フレデリック・アントンさんとパティシエールのクリステル・ブリュアさん。伝統的なケーキ、フォレ・ノワールがグラスに入って、軽やかな仕上がりとなりました。
いかがでしたか?ファッション・ショー、最優秀ショコラティエの発表、サイン会にデモンストレーション・・。ショコラを楽しみ、味わい、熱狂する人々で盛り上がった5日間。ショコラティエの方とも話ができる、出会いと交流の場でもあるサロン・デュ・ショコラです。新たなショコラの世界を発見し、今から来年が楽しみです。以上、パリナビでした。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2011-10-26