真っ白なサクレ・クール寺院のたつ丘、19世紀後半には芸術の舞台となったエリアです。
こんにちは、パリナビです。パリの観光名所の多くは中心地に集まっていますが、北の方、丘の上にもご注目!こんもりと一段高くなっているところ、それがモンマルトルの丘です。その上にたつ真っ白なサクレ・クール寺院は、モンマルトルのもっとも代表的な建物。その独特などっしりとした風貌は存在感があり、モンマルトルの代名詞とも言えます。19世紀後半には、寺院の近くにに当時の新進画家たちがアトリエをかまえ、芸術の舞台となりました。下町情緒がいまも残るモンマルトルを、気の向くままに歩いてみましょう!
まずはサクレ・クール寺院へ!
まずはモンマルトルの目玉、サクレ・クール寺院へ行ってみましょう。最寄り駅はメトロ2号線のAnvers(アンヴェール)です。地上に出たら、右手に進み、大通りを渡ります。坂道になっているステンケルク通り(Rue de Steinkerque)を入り、そのまままっすぐ進めばサクレ・クール寺院が見えてきます。ステンケルク通りは、おみやげもの屋さんがいっぱい並んでいて、お寺の参道みたいな雰囲気。
人がいっぱい!お祭りみたいな雰囲気です。
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サクレ・クール寺院が見えてきます。
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さて、サクレ・クール寺院がみえてきた!…と思いきや、高台にあるので近くに見えても結構上らなければたどり着けません!足に自信のある方は、広場から階段を上っていきましょう。まっすぐに上らずに、ジグザグになっている階段ならゆるやかなのでラクです。そうでない方や体力を温存しておきたい方などは、左手の方へ。フニキュレールというケーブルカーがあるのです。このケーブルカーは、メトロ・バス共通の切符で乗ることができます。
ケーブルカー乗り場です。乗れる人数が決まっていて、改札でカウントされています。
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ケーブルカーからの眺め。ぐんぐんのぼるのが気持ち良い!
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さあ、ここまできたら、パリが一望!アンヴァリッドの金色の丸屋根や、カラフルなポンピドゥーセンター、のっぽなモンパルナスタワー…などなど、パリの名所を探して楽しんでみては。
寺院前では大道芸人たちが注目を集め、見物人でいっぱいです。
芸術のモンマルトル、サクレ・クールの北西エリア
では、サクレ・クール寺院の周りを散策してみましょう。寺院の西側は、19世紀後半から20世紀初めにかけて、当時の新進画家たちがアトリエをかまえ、活躍した場所です。
テルトル広場では、今も似顔絵やパリの風景画を独自のスタイルで描くアーティストたちがいっぱい。モンマルトルらしい芸術村の雰囲気を味わおうと、観光客もたくさん繰り出しています。飾ってある絵を見て気に入ったら、そのアーティストさんにその場で描いてもらうのも良い記念になるかもしれません。
テルトル広場の横には有名な映画俳優、ジャン・マレの名前がついた広場もあります。ここから北の方、サクレ・クール寺院の後ろ側へ続く道も、レストランやカフェでにぎわっています。
若い男性が二人、アコーデオンを弾きながらシャンソンを歌っていて、いかにもモンマルトルらしい光景に出会ったりもします。通りすがりの人々も足を止めて聞き入っていました。
モン・スニ通り(Rue du Mont Cenis)を下り、左に続くコルト通り(Rue Cortot)へ入ると、モンマルトル博物館があります。パリの他の地区とはひと味ちがうモンマルトルの雰囲気を残すために作られた博物館には、19世紀後半にこの周辺で活躍した画家たちのポスターも展示され、古き良き時代がうかがえます。
モンマルトル博物館の先に、かわいいピンクのカフェ・レストラン発見!その名もずばり「メゾン・ローズ」。お天気の良い日は、ここの路上のテラスでちょっと休憩、道行く人を眺めるのも楽しい。
さらに右手に坂をくだっていくと、ブドウ畑があります。パリで唯一のブドウ畑です!毎年10月に収穫祭が催されます。
ここのブドウで作ったワインもあるそうですが、味は…???とにかく生産量が少ないので、なかなか飲めるチャンスがありません。
ブドウ畑の向かい側には、小さなかわいいおうちが。これがシャンソン小屋、ラパン・アジルです。
跳ねるうさぎの絵が目印。19世紀末から20世紀初頭、このキャバレーには近所の芸術家たちも通い、お酒を酌み交わしながら歌ったり詩を読んだりしたそうです。ピカソも常連の一人でした。今はフランスの懐かしいシャンソンが聞けます。
さて、テルトル広場の方へ戻ってみましょう。
テルトル広場の喧噪を抜けて路地に入っていくと、ダリの美術館、エスパス・ダリにぶつかります。そこへ一歩足を踏み入れれば、ダリ独特のシュールレアリズムの世界が楽しめる空間です。
もう少し西に進み、ルピック通り(Rue Lepic)に出てみましょう。昔、かつて田園風景が広がっていた頃、高台にあることを利用して、小麦をひく風車小屋がありました。その風車がまだ残っています。
風車小屋は、19世紀初頭にガンゲットと呼ばれるダンスホールになり、週末はパリから人々が遊びに来ていたそうです。そして20世紀初頭までにぎわっていました。その様子はルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」(オルセー美術館所蔵)に描かれています。風車は二つあり、ひとつは名前もそのままの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」というレストランになっています。もうひとつは私有地の中にあり、残念ながら入ることはできません。
この風車から少し下ったところにはエミール・グドー広場があり、そこに20世紀初頭に若い画家たちが集まったバトー・ラヴォワールというアトリエ跡があります。ピカソもバトー・ラヴォワールにいたことがあり、キュビズムの幕開けとなった「アヴィニヨンの娘」はここで描かれました。
エミール・グドー広場。人々の憩いの場でもあります。
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バトー・ラヴォワールのファサード。
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映画「アメリ」の雰囲気そのまま、サクレ・クールの南西エリア
サクレ・クール寺院の南西、アベス地区にも足をのばしてみましょう。アベス地区は、お店やレストランがいっぱい並んでいつもにぎやかなところです。観光客だけでなく地元の人も多く、気取らない普段着のパリの雰囲気。特に映画「アメリ」が大ヒットしてからおしゃれ度がアップしました。エミール・グドー広場の階段をおりたら、左手にのびるトロワ・フレール通り(Rue des Trois Freres)を下っていきましょう。
映画「アメリ」に出てくる八百屋の舞台になったアリおじさんのお店があります。当時の新聞記事が窓にたくさん貼ってあって、お店が映画の撮影に使われたことをとっても誇りにしているようです。アリおじさんは人気者で、彼と一緒に記念撮影する観光客も後をたちません。
アメリが働いていたカフェ、カフェ・デ・ドゥー・ムーラン(Cafe des Deux Moulins)もこのエリアにあります。映画の雰囲気そのままのカフェです。フランス人はテラス席を好む人が多いのですが、内装がステキなのでぜひ中でお茶してみてください。大人気でいつも混んでいます。
カフェ・デ・ドゥー・ムーランはルピック通りにあるのですが、アリおじさんのお店からカフェに行くまでにアベス通り(Rue des Abbesses)を通ってみましょう。
アリおじさんのお店に向かって左手に小さな階段があります。そこがパッサージュ・デ・ザベス(Passage des Abbesses)という路地で、ずっと下りていくとアベス通りに抜けることができます。
パッサージュからアベス通りへ出るところで、アーティスティックなグラフィティ発見。
左の方へ行くとアベス広場(Place des Abbesses)があり、メトロ12号線のアベス駅があります。この入り口はアールヌーボー様式を残していて立派な門構え。この駅では地下のかなり深いところにメトロが走っていて、ホームに下りるまで、とても長い螺旋階段があります。壁にパリの風景が描かれているので、余裕があったら眺めながら下りてみて。でも、のぼるのはかなりしんどいのでご注意!
駅の向かい側には赤レンガの教会が目につきます。サン・ジャン・レヴァンジェリスト教会です。1894年に着工し、コンクリートを使うなどの新しい建築技術に疑問を抱く人々によって何度も中止要請を受け、1904年にやっと完成。パリの教会の建築としては近代的な内部は、アール・ヌーボー建築の影響を受けています。ステンドグラスも美しいので、開放されていたらのぞいてみましょう。
アベス広場からのびているアベス通りには、お店やカフェ、レストランがたくさん並んでいます。
アベス通りの数あるお店のなかでも、フランスパンのファンにおすすめなのは、コクリコ(Coquelicot)というパン屋さん。特にピッコラというひねったパンがおいしくて近所では有名。イートインも可能です。
お店の外まで、すごい行列…。
でも近くに2010年のパリ・バゲット・コンクールで最優秀賞を受賞したお店、ル・グルニエ・ア・パン(Le Grenier a pain)があって、こちらも大人気!なんと日曜日には1800本(!)のバゲットが売れるのだそうです。ル・グルニエ・ア・パンはパリ市内に他に何店かありますが、最優秀バゲットはこのアベス通りのお店から。こちらのお店のパン職人は、セネガル出身のジブリル・ボディアンさん。この職について12年、「おいしいパンを作るのには、時間を節約しようと手を抜いてはいけない」という丁寧な仕事が認められたのでしょう。
アベス通りからルピック通りを左手に下って行くと、ここもグルメなお店やカフェがあって楽しい通り。坂道の途中に「カフェ・デ・ドゥー・ムーラン」があります。ルピック通りの坂道を最後まで下って大通りに出ると、メトロ2号線のブランシュ駅に突き当たります。
手軽に一周するなら、プチ・トランやモンマルトル・ビュスを利用!
歩いて散策すると楽しいのですが、丘なだけあって上り下りの多いモンマルトル。手軽に短時間で一周するなら、プチ・トランやモンマルトル・ビュスはいかがでしょうか?プチ・トランは、サクレ・クール寺院に向かって左側の方へぐるっとまわったところ、またはブランシュ駅のあるブランシュ広場(Place Blanche)に乗り場があります。開放的な乗り物になっていて、道や建物が身近に感じられます。
また、エリアを循環しているモンマルトル・ビュスというバスもあります。こちらは観光用というよりは、どちらかというと坂や階段の上り下りを避けたいときの移動手段。でも路線は観光ポイントをおさえているので、エリアの真ん中辺りで観光を終えてメトロまで移動したいときなどは便利でしょう。このバスは小柄な車両で、モンマルトルの狭い道もどんどん入っていきます。
さて、こんな風にエリアを一周してみましたが、気の向くまま、足の向くままに迷い込んでみてみてください。飾らないパリの素顔が見られるかもしれません。(ただし、夜は危ない場所もあるので注意、人通りの少ない道は避けてください。また、丘のふもと、sexショップなどが集まるピガール界隈など、いかがわしい雰囲気のところは昼間でもなるべく行かないようにしましょう。)以上、パリナビでした。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2010-12-24