一年に一度のチャンス!元老院を見学してきました!
元老院(リュクサンブール宮)
こんにちは、パリナビです。毎年9月に、通常は公開されていない建物や施設が無料で一般公開される日があります。それがヨーロッパ文化遺産の日。普段は入れない場所だけにとても貴重な機会です。今回ナビが見学してきたのは、リュクサンブール公園に建つ元老院(Sénat)。その歴史は古く、かつてマリー・ド・メディシスの居城だったことでも知られています。現在は国会の上院に当たる元老院の議会であり、国民議会と並んで政治の中枢を担っています。いったい中はどんな風になっているんでしょうか?ではヨーロッパ文化遺産の日、元老院見学に行ってみましょう!
もと宮殿だった上院議会
入場までには長蛇の列が
元老院は、またの名をリュクサンブール宮殿(Palais du Luxembourg)と言います。もともとリュクサンブール公という貴族の邸宅だった建物を、アンリ4世に嫁いだマリー・ド・メディシスのために改築したものです。マリーが失脚した後はその孫などの居城となっていましたが、フランス革命後は政治の舞台となっていきます。
文化遺産の日はエリゼ宮や国民議会など、まず普段立ち入ることができない政治的な施設が特に人気ですが、この元老院も同じく人気があります。入館できるまで1時間ほどの待ち時間を見込んでおくといいでしょう。
重厚かつ絢爛な内装
Salle du Livre d'Or
副議長の部屋
さて、中へ入ると、歴史を感じさせる重厚な雰囲気。そして、議会の建物らしからぬ(?)きらびやかな内装に驚きます。これもやっぱり宮殿の名残りなのでしょう。1階の見どころはSalle du Livre d’Orという部屋。マリー・ド・メディシスの住居に由来して1817年に改装されたものです。木製の部屋は天井から壁の隅々まで埋め尽くすように装飾が施されていて、それはそれは圧巻!部屋自体はそれほど大きくないものの、お城の一部屋を見ているような印象です。
書庫(アネックス)
階段を上がって2階は見どころがいっぱい。
まず2カ所ある書庫(Bibliothèque)。アネックスと呼ばれる新書庫は、書物という書物が壁の棚いっぱいにずらり!高い天井に届くほどの蔵書が収められた書庫はずっしりとした迫力があります。そしてアーチ形の天井には12星座をモチーフにした天井画が並んでいて、またもや宮殿のような印象を与えています。こちら実は昔の大広間。そして18世紀にヨーロッパで初めて絵画の美術館として一般に公開された場所なのだそうです。現在は元老院の隣にリュクサンブール美術館としてオープンしています。
そしてもう一つの書庫は議場の裏側にあります。入るとすぐに目につくクーポールの天井画はダンテの神曲をモチーフにしたドラクロワの作品。こちらの書庫は外の光がたっぷり入る明るい作りになっていて、リュクサンブール公園の景色が広く見渡せます。
第二帝政期の大広間と議場
Salle des Conférences
ナポレオンの玉座
ではさらに見どころを紹介していきましょう。2階にはSalle des Conférencesという大広間があります。奥行57m、幅10.60m、高さ11m(クーポール部分は15m)というこの広~い部屋は、第二帝政期の代表的なデコレーションが施されています。とにかくその豪華絢爛さに、見学者も思わずため息が出るほど。ここはベルサイユかオペラ座かというくらいです(笑)。天井に掲げられた絵画には、フランス・ヨーロッパの歴史上主要な人物が登場します。そしてこの部屋では、かのナポレオンが元老院の議会に出席する際に座った玉座が展示してあります。絵画に彫刻に金の装飾と、とにかくすべてがゴージャス!
元老院議場
厳かな雰囲気
この大広間のすぐ後ろがSalle des Séances、議場です。半円形の形をした議場は私たちがよくイメージする赤いシートのオーソドックスな作り。特徴的なのは、議長席の後ろに立っている7体の彫刻。コルベール、ロピタル、ダゲッソーといった昔の政治家たちの像はとても存在感があります。議席はそれぞれ政党によってグループ分けされています。これまで内装があまりにも豪華なので宮殿の見学をしているような気分でしたが、やっぱり議場を見ると、ここが行政の場所だということを思い出しますね。ちなみに現在の元老院の議員数は348人なのだとか。
2階から1階へは、Escalier d’Honneurという有名な階段があります。絨毯敷きの厳かな雰囲気の階段を降りると、中庭へ出ます。
議長の部屋とナポレオンの間
議長室
王妃のチャペル
中庭から左、西側の建物では19世紀初頭の内装を残す議長の部屋が見学できます。そしてここにはマリー・ド・メディシスが作らせた王妃のチャペル(Chapelle de la Reine)もあります。19世紀にバロック風の内装で再建築されました。
中庭の右側、東の建物は、かつての持ち主だったリュクサンブール公フランソワの邸宅でした。現在は公式レセプションに使われています。建築家の名前が付いたボフランの階段はとっても優雅。建物自体が美術館のようです。ここにはナポレオンの間と呼ばれる部屋があります。壁には、カトリックの正装をしたナポレオンの肖像画と、ナポレオンから元老院へあてた言葉が刻まれています。
以上で見学は終了です!
合計で3つの建物を見学するというかなりボリュームのある内容でした。ゆっくり見て回ると2時間ぐらいはかかってしまうかも知れません。とにかくまるでお城や宮殿にいるかのようなデラックスな雰囲気。政治の場ということを忘れそうでしたが、たまに見かけるコピー機やコンピューターが現実に戻してくれました(笑)。
なかなか見応えのある元老院、一年に一回ですが、機会があれば見学してみて下さい。
では元老院から文化遺産の日の特別レポートをお送りしました。
以上、パリナビでした。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2017-09-27